グッドマンほど我が国で冷遇されてきた哲学の巨匠はいないだろう。最近刊行されつつある某大手出版社の哲学史シリーズ――日本人研究者が書いたことがウリの――でも見事に無視されている。さて本書は本国アメリカで刊行されるや大きな反響を引きおこした問題作であり、グッドマンのメタ哲学ならびに記号主義を事例に即して懇切に展開した、グッドマン哲学への最良の入門書(あるいはそれ以上)だ。かつて、みすず書房から刊行されたが長らく品切れになっていた。哲学に関心のある人だけでなく、工学系やデザイン関係者などに読まれていたらしいが、容易に入手できなかった。古本相場も高かったし、第一古本屋の店頭に出なかったのだ。今回文庫化されたが、早速確認したところ、訳や注も改善されていて格段に読みやすくなった。訳者による解題や用語解説も資料として役にたつ。