本書の基本的な方針は、自由競争経済の更なる推進、外需拡大、です。それがより良いという主張ではなく、日本の内需縮小が不可避であるとの断定から、そうせざるを得ない、というのが主張されています。
去年の7月以降、激しいトヨタバッシングに顕著な米国保護主義の先鋭化、現政権による口蹄疫問題不対応に見られる農産業無対策、東アジア情勢の緊張、など新しい要素が加わっている現時点において本書の評価をするのはいささかアンフェアではありますが、わたしは上記の筆者の主張に全面的な賛成はできません。従って、本書への評価は高くつけられません。
特にFTA問題や反保護主義的経済政策の問題において同意できない。最も異議があるのは、「薄れ行く国境という概念」。企業レベルでみる経済はボーダレス化していますが、最後には国の腕力がモノを言うのだということを実際に米国や中韓に味わわされた後でこれを言ってしまうとは、現状認識不足だと思います。本書のなかで筆者は農業FTA問題などについて具体的な例を挙げた主張をしていますが、高付加価値農産物を生産する一方で必需である農産物の生産力を無くしてしまえば、まさに「パンとサーカス」のサーカスしか残らないというわけで、保安上問題です。国策は経済合理性のみで判断できる問題ではありません。
しかしながら、人口を増やさない限りは異常消費文化のバブル崩壊も相まって、日本国内市場が縮小するのは既定路線だと言う点においては全面的に賛成します。高度技能の無い移民の受け入れは想定するのもおそろしいのであえて思考停止・・・。
マーケットのグローバル化への対応を推奨する点でも同意です。外需傾倒は誤りであるという指摘が誤りであるというのはごもっとも。企業レベルでみる筆者の主張にはおかしなところを感じません。
以上が第一章に対するレビューです(笑)
本書はまず第一章で前提条件の確認とおさらいをしてくれる上、他の章で挙げてくる具体例は殆ど手あかのついたトピックであるか全体論が過ぎて的を外しているかしているので、たいへん初級者向きだと思います。鵜呑みにしちゃあいかんなあと自戒も込めて感じ悪いレビューをしました。すいません。
それにしてもさすが朝日系列の出版ですね。私も大概ご覧の通りですが、この筆者はどんなポジションなのか知りたいような知りたくないような。