仕事上の必要があって手に取った。著者の谷脇氏は総務省でブロードバンド政策を担当している、いわば官側の専門家である。
つい先月、Apple社のiPhoneが日本でも発売されて話題になったが、いま、携帯電話=モバイルネットワークの世界は、大きな変革期を迎えようとしている。すなわち、
(1)モバイル端末とネットワークの分離
(2)アプリケーションの自由化
(3)ネットワークサービスの開放
である。日本の携帯電話関連市場はここ10数年で10兆円を超えるまでに成長したが、一方でこの3月に三菱電機が携帯電話事業から撤退したように、普及率も80%近くなりビジネスとしては閉塞感が漂い始めている。販売奨励金制度やキャリアによる携帯電話機の買い取り制度など、日本独特のビジネスモデルの弊害も露わになってきた。この「世界一不思議な」日本独特のビジネスモデルを改め、次世代のモバイルビジネスへの展望を示したのが本書である。
専門誌に目を通している人とっては特に目新しい話題はないが、現状のモバイルビジネスが抱える問題と目指すべき姿がコンパクトにまとまっていて、わかりやすい。ただ、著者の提案は、世界のケータイ市場に打って出るためのビジネスモデル、というよりもむしろ、iPhoneのようなクロフネに一方的にやられないための最低限の対策であろう。まさに今、ホットな一冊である。