Amazon.co.jp
2001年9月11日のニューヨークにおける大規模なテロ事件は世界中を震撼させ、改めてテロリズムに目を向けさせることとなった。本書は世界各国でのテロ組織の実態を目の当たりにしたであろう時事通信社外信部の記者らが著し、本書の発刊時点では同社の外信部次長を務める杉山文彦が編んだもの。世界各国、各地域のテロリスト、テロ組織を個々に取り上げその背景を説きつつ、なぜ彼らがテロに走るのかを考察する。
ここに取り上げられたテロリストは16名、組織は約15ほど。9.11事件の首謀者といわれるウサマ・ビンラディンおよびアルカイダはもちろんのこと、カシミール過激派(インド/パキスタン)、チェチェン武装勢力(ロシア)、そして日本赤軍などが各章ごとに紹介されていく。IRA(アイルランド)を例にとると、その背景には英国による支配の歴史、アパルトヘイト並みであったという差別、そして過酷な貧困があったことがわかる。民族間、宗教間の対立や差別と貧困は、やはりテロ発生の大きな要因であろう。とはいえ本書はあくまで暴力を否定し、一貫して中立的な立場をとっている。
惜しむらくは副題が「憎しみの連鎖を断ち切るためには」であるわりには、テロ組織のリーダーの紹介、歴史の説明にとどまる傾向があり、今後の展望についてはあまりふれられていないことだ。それはこの問題が深く複雑な問題であり、安易に指針など示すことなどできないという現状を反映しているのかもしれない。なぜテロが起きるのか、どうしたら悪循環を食い止めることができるのかについては、本書で得られた情報をもとに読者が自分で考えるべきだとの狙いもあるのだろう。(工藤 渉)
内容(「BOOK」データベースより)
9・11以降の現代世界において、テロは世界的に重大な問題となっている。今や日本もテロの標的に名指しされ、もはや「対岸の火事」ではすまされない。なぜ「彼ら」はテロに走るのか。どうすればテロの連鎖を断ち切ることができるのか。テロを生む歴史的・政治的・経済的背景なども解説しながら、現地で取材した通信社特派員らが、テロリストたちの「論理」を解き明かす。テロを引き起こす側の組織と人間にスポットを当て、彼らの行動と思想を追った連作ノンフィクション。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
杉山 文彦
1957年静岡県生まれ。81年時事通信社入社。88~91年ニューデリー特派員、97~2001年カイロ特派員などを経て、現在外信部次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1957年静岡県生まれ。81年時事通信社入社。88~91年ニューデリー特派員、97~2001年カイロ特派員などを経て、現在外信部次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)