この本は初版が2010年1月5日、「日本創生編」の方が2011年9月1日ですので、1年半程遅い時期の感想になってしまいます。そのため、東日本大震災後の現在の時局に合わない箇所が見受けられる点もありますが、それでも僕が「知ったつもり」でいて実は何も知らなかった点も多々ありました。
寺島氏が冒頭でこの本のテーマを一言で言い表しています。「アメリカを通じてしか世界を見ない」ことから脱却すべきであると。
その手始めが、日本が海外に目を向けるようになったのはペリーの浦賀来航(1853年)を機に始まったのではなく、それより150年ほど前にはロシアではサンクトペテルブルクにて日本人漂流民を教授に任命した日本語学校が設立されており、幕府もロシアの極東での動向に注意を払っていたという記述です。蝦夷地の開拓も単なる「開拓」ではなく、「警護」の意味合いもあったということを恥ずかしながら初めて知りました。
その他、第三章で「日米関係は米中関係である」として米中関係を説明している箇所では、米国世論を「反日・親中国」へと向けていったタイム・ワーナーの創始者ヘンリー・ルース氏が中国山東半島で宣教師の子として生まれ、14歳まで過ごしていたということも始めて知りました。(その反日運動の際の「ヒロイン」が宋美齢氏であったことはご存じの通りです)
この二点以外にも僕の狭量な視野を広げてくれる説話が多くあったのですが、一つだけ残念な点がありました。第三章の4“「友愛」なる概念の現代性”という文にて、鳩山元総理の「友愛」の概念に過度に期待を寄せていた点です。
この概念が鳩山氏自身同様空虚で中身のないものであったことは全ての日本人が周知の所です。この点は大震災とは関係ないことから、寺島氏ほどの方が何故元総理の本質を見抜けなかったのかと不思議でなりません。