池上氏のニュース解説はとてもわかりやすいのですが、
その理由についてはなんだか釈然としないものがありました。
新書「伝える力」にも分かりやすく伝えるノウハウは紹介されていますが、
それだけではない何かがあるように思えます。
今まで、その"何か"がわからずもやもやとしていました。
この本は、水・(戦乱からの)復興支援・命(母子医療)・
食糧・教育・経済の基盤(開発プロジェクト)など
国際協力の現場で活躍する日本人7人を
ジャーナリスト池田氏が取材してまとめたもの。
紹介されているのは、
それぞれの分野のプロフェッショナルとして、
グローバリゼーションの先端で
非常に難易度の高いプロジェクトマネージメントを成功させている方々。
興味深く勇気づけられるような事例がたくさん紹介されています。
スーダンやウガンダの現地取材をしてまでなぜこのテーマを追いかけるのか、
その意義を池田氏は本書で繰り返し説明します。
戦後日本の復興は国際的な援助なくしては不可能だったのであり、
私たちには恩返しする義務があること。
世界的なインフラ市場の発展や発展途上国の低所得者層40億人の市場にこそ、
私たちの未来があること。
これを読んで、池上氏のわかりやすさの秘密がわかりました。
なぜそれを伝えなければならないのか?
それを伝えることで何を成し遂げることが出来るのか?
についての明確な信念があり、
強固なバックボーンとなって説得力を生み出しているのです。
平易なだけの言葉なら、受け手の心に響かないこともありますが、
ジャーナリストとしての信念こそが、
平易な言葉を伝わる言葉にしているのです。
今後(2011年4月以降)はレギュラー番組を全て降板して
取材と執筆に注力されるとのことですが、
そんな信念からすれば当然のことでしょう。
バラエティ番組でお笑い芸人に少しばかり知恵を付けたからといって、
誰かの命が救えるわけじゃありません。
出来ることならば、
「世界を救う7人の日本人」を
ワールドウォッチ研究所の「地球白書」のような年次刊行物にして
さまざまな方の活躍を継続的に紹介して欲しいと希望します。
池上氏の伝わる力のこもった言葉はきっと、
世界を救おうとする志をもった日本人を奮い立たせ続けるでしょう。
世界が、池上彰のわかりやすさを必要としているのだと思います。