本書は、人類の教師と言える、八大聖人−−ブッダ、孔子、老子、ソクラテス、モーセ、イエス、ムハンマド、聖徳太子について記述したものです。
彼らの人物紹介のダイジェスト版のイメージで手に取った本書ですが、良い意味で、読む前の印象とは違う内容の書物でした。
本書は3部構成で、第1部「人類の教師たちのミステリー」、第2部「人類の教師たちのプロフィール」、第3部「人類の教師たちのメッセージ」から成りますが、八大聖人の個々のプロフィールをダイジェストに紹介しているのは、全体の3分の1を占める第2部だけです。
本書の特徴は、前後の第1部と第3部にあり、第1部では、日本人の「これまでの」宗教的思想観について述べ、第3部では、著者が思い描く「これからの」宗教的思想観について主張しています(もちろん、第1部、第3部中でも、必要に応じ、八大聖人のプロフィールについて触れています)。
私はこの著者の考える宗教的思想観(宗派にとらわれず、良いところは取り入れようという寛容な考え方)について、かなりの部分を共感できたので、本書には高い評価を与えたいと思います。
「石門心学」をベースに仏教・神道・儒教という宗派を超えて、それぞれの良いところは皆取り入れるというこれまでの日本人の宗教的思想観を論述後、八大聖人個々のプロフィールに触れ、後半では、これからの宗教的思想観が熱く語られているのですが、私には説得力のある説と受け取ることができました。
もっとも、著者の宗教的思想観は、まだまだ発展途上にあるようで、第3部で披露している「人の道」17条の教えについては、著者自身も「思案中で完成はしていない」と認めているところです。これから、どのように思想観を深めていかれるのか、今後の著書の発表を注視していきたいところです。