早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)の提供する、ボランティアプロジェクトに参加した大学生の活動を、教員の視点から描いたものである。
本書は、
“「しあわせ」に向き合う”
“「暴力」に向き合う”
“「差別」に向き合う”
の3つの章に分れている。
“「しあわせ」に向き合う”
は、発展途上国のストリートチルドレン、ゴミ問題を通じ、「本当の幸せとは何か」についてという問題にたどり着く物語。
“「暴力」に向き合う”
は、DVをテーマにした、授業を通じた学生の運動の物語。
“「差別」に向き合う”
は、主にハンセン病を取り上げている。
本書では再三「学生の熱意が」云々、という記述があるのだが、どれもどこか浅いという印象を受けた。
というのも、学生が、授業の一環、或いはプロジェクトに参加、という形でボランティア活動を行っているからだ。
自身の人生を賭けて、ボランティア活動こそが自身の生きる使命であるとしてそれを行うのとは、まるで話が違うのである。
どの学生も、最終的にはその活動を「通過点」として、数あるうちの人生経験のひとつとして行っている。
ボランティア活動というものを教育の手段のように扱っている点に、違和感を感じた。
本書で語られる「ボランティア活動」は、いずれもそれ自体が目的なのではなく、手段のようであった。
それが、本書で語られるボランティア活動の、浅さを感じさせる原因であろう。
全体を通して、大学生が煩悶し、ある程度の答えを出すまでの過程の物語、がそのほとんどである。
ボランティアとはどういったものか、という事を考えるきっかけとしての本として期待するのではなく、
教育機関に設けられた、「WAVOC」という団体の広報活動の一環として読めば、さほどの違和感も感じないかもしれない。