初めてこの本を手に時、ひどく私向きでない作品だと思った。でも、面白かった。というのも、戦場カメラマンの体験記といいつつも、戦闘風景や殺し合いは全く出てこないうえに、「平和が一番」みたいな解り切った言葉も一度も出てこない。それよりも温かい人の交流や紛争地域とはいえ、当然、そこに生きる人たちもいるわけで、そこにいる普通の人達ばかりが登場する。一編一編とても短い文章だが、それぞれに全く異なる方向性のものばかりで、とても味わい深く、泣いたり笑ったり忙しかった。文章も抜群にうまい! 「今日はここまで」と思うのだが、ついつい次の出だしが目に入ると読まずにいられなくなってしまう。今後の彼の作品にぜひ注目したい。