待ちに待ったシリーズの開始を素直に喜びたい。価格もとても良心的。このイタリア編はシリーズ中でも特に読みたかった巻である。早く読めて嬉しい。本書はどうしてその期待に十分に応えてくれるものであった。自分でもなぜイタリアに興味があるのかと思っていたのだが、その疑問も本書を読んで氷解した。筆者はイタリア人とイタリア料理の本質というものの源泉として〈パスタ感覚〉というものを想定している。それは古代から、中世、ルネサンス、バロック、啓蒙主義の時を経て最近まで、「イタリア人」を作り出すために有効に機能してきた「身体的=心的装置」である。もしそれが事実だとすると、このようなイタリア人の〈パスタ感覚〉が、麺食いのわれわれ日本人の琴線に触れないわけはないではないか。図版はどれもよく選ばれ、撮られている。しかし、長期に渡る上に、とりわけ豊かなイタリア文化だけに図版ももっとあるのではないかと思ってしまうが、それは欲張り過ぎというものであろう。