黒田先生のご著書はこれまでに何冊か読ませていただいているが、この本に
関してはあまり残るものがなかった。
本書は、世界の言語の中から90言語(その中には「語派」も含まれている)を
著者が選び出し、それに対して著者が感じていること、経験したことを見開き
2ページでそれぞれまとめたものである。したがって、内容は決して専門的で
はなく、中には著者の思い出を語って終わりの言語もある。
しかし、筆者の備忘録としてはいいかもしれないが、それを一読者の私が読ん
でも、残念ながら残るものは少ないし、果たしてそれが「言語入門」なのだ
ろうか。
それに、本書で扱っている言語の約3分の1ほどの言語は、筆者ご自身も「全く
知識がない」と自ら語っている状況なのはいかがなものか。それならば、これら
言語を「言語入門」としてピックアップした意義や意味は何なのだろうか、
と感じてしまう。
概して感じたのは、この本を通して何を我々読者に伝えたいのかが伝わって
こなかったのが非常に残念である。筆者のファンであれば、筆者の思い出が
たくさん詰められている本だけに、楽しめるかもしれない。