「世界の艦船」別冊の軍艦史シリーズスタンダードな内容ですが、旧版とくらべてかなり改訂されており、ページ数も大きく増えています。
掲載写真は全面的に見直されており、初出の写真や従来よりきれいにプリントされている写真も多い反面、おこしすぎてコントラストがきつくなってしまっている写真もあり、やや惜しいものもあります。
巻末の記事は、従来のフォーマットで船体や機関、兵装などの要素ごとにまとめた内容(記事内容は一新されており、阿部氏が概論を、編集部が船体を、国本氏が兵器を高木氏が機関を、それぞれ書き下ろしています)に加えて、コラム的に運用構想や建艦計画を「アラカルト」として紹介する記事が新しく追加され、やや様変わりしています。これは従来の「世界の艦船」別冊では珍しいスタイルですが、新しい史料を用いいつつ軽い感じの読み物に仕上がっており、個人的には面白く感じました。
一方で全体のボリュームアップに写真のキャプションや校正が追いついていない部分も散見され、一部写真のキャプションには疑問がありますし、未成巡洋艦「伊吹」の項では「伊吹」の雷装が、諸元では五連装五基となっているのに対して写真のキャプションでは四連装四基となっており、同一ページ内で混乱(評者としては四連装四基が正解であると認識しています)しています。校正段階で統一、もしくは両論併記を明確に出来ることなので、こうした点にミスが残っているのは残念です。
以上の諸点を考慮して本レビューでは☆4つ(気持ち的には3.5といった感じですが)としていますが、要領よくまとまった内容なので日本巡洋艦に興味がある人の最初の一冊としては、まずはお勧めの一冊といってもよいと思います。