この作品は私が初めて読んだ村上春樹の本で、10回以上読み返した物語です。
今まで大人になって読んだ本でそこまで読み返した本というのは、そう多くはありません。
他の作品も今はほとんど読んではいますが、最初にこの物語を読んだ時の感激(おおげさですが)は忘れられず、
今でも読み返すほど大好きな本なので、是非英語翻訳版も読んでみたいと思い購入しました。
あまり村上さんのことを知らなかった時に、「この人の文章は英語にしても読みやすそうだなぁ」と思ったのを覚えています。
実際読んでみると、割と思っていた通りの文体で安心しました。
あくまで個人的な感想ですが、原作のイメージを大きく損なうこともなく、
特に「世界の終わり」のパートではオリジナルを読んだときと同じような美しく幻想的な世界が想像できてとてもよかったです。
反面、「ハードボイルド」パートでは、少し苦戦しました。
日本語だと難しい単語が出てきても、この単語はこういう意味だ!と理路整然と説明はできなくても漢字の雰囲気や組み合わせでイメージしやすいのですが、
英語だと単語を知らないと??となってしまうことが多々ありました。
私の英語力が乏しいせいなのですが、neurophysiologistとか。わかんね。
逆に日本語だと「なんだその堅い単語」と思っても英語だと簡単とかもありますが。表層的混乱とか。
ただ、何回も読み返していた本だったため、そこまでつまづくことなく読めました。
一章一章の区切りも短いですし、時間のあるときにちょこちょこと読めるのでいいです。
惜しむらくはやはり村上春樹の最大の魅力ともいえる台詞回しや会話、独特の言い回しが英語では十分に発揮しきれてないかな?ということです。
日本語だと味になるものが英文だとくどくなるためでしょうか。
はしょられている台詞もたくさんあります。
例えば序盤の大佐の長い台詞では
「君にとって必要なもの、君の知らねばならんものを街はこれから一つ一つ君の前に提示していくはずだ。君はそれをやはり一つ一つ自分の手で学び取っていかねばならんのだ」
は「The things you need,the things you need to know one by one the Town will set these before you」
「目を開き、耳を澄まし、頭を働かせ、街の提示するものの意味を読み取るんだよ」という台詞は
「Open your eyes,train your ears,use your head」だけという簡潔さ。
16章の終わりの「それでもあなたはまだ私をもとめているの?」「求めている」という僕と彼女の会話もすっぽり抜けてます。
ストーリーには支障はないし、原文で読んでなければ気にもならないようなはしょりではあるんですが・・
行間を読み取らんかいということでしょうかね。。もしくはページ数の都合?いらない台詞だとは判断してほしくはないですね。。
ストーリーも面白いですが、そういったやり取りが村上春樹の文章の好きなところなので。
ので☆−1。
村上春樹自身が英訳したらどんな風になるのかが見てみたいところ。