タイトルだけだと一見、ハートウォーミング系?なんだけど、まったく違う。各短編のほとんどに登場する「動物」や「障害者」や「日常のコードから外れた人」の存在が、「かわいい」とか「かわいそう」とか「特別扱い」といった従来のステレオタイプな文脈では一切捉えられていなくて、そこが何とも読んでいて心地いい。ちょっと奇を衒い過ぎな感もあるけど、各短編の主人公たちの、動物や障害者や厄介者に対するスタンスがクールでフラットでナチュラルで、シンパシーを感じてしまう。従来的な文脈外しが新鮮で、不思議な読後感である。おなかの中で鳥や蛙を孵化する女の子の話とか、犬とやっちゃう男の子の話とか、グロテスクでありながらユーモラスで印象深い。“奇妙な小説”ってことでは、日本だと乙一のテイストに近いのかな。ちょっと前の世代とは切れているんだよね。自らも病んでる、疎外されてるって意識があるから、あらゆる対象に対して傲慢じゃないんだよな。その点だけでも、その前の世代よりは評価されていい。
この短編集の特徴は「訳者あとがき」によくまとまっている。曰く、「こうした新しい短編小説を書いている作家の大半が1967年(ヒッピー全盛期<サマー・オブ・ラヴ>の年)以降の生まれ」であり、「ミニマリズムの作家」であり、「(これは映画監督でもある作者の映画作品について述べられた言葉だけど、)社会の片隅で疎外されているように見えて、とくにコンプレックスに陥るでもなくふつうに生きているふつうの、それでいてやはり風変わりな人々が描かれているのだが、何かテーマや大義を訴えるのではなく、人間を見つめていこうとする姿勢が魅力的な作品にしあがっている」。まさにその通りでさ。アメリカの作家なんだけど、国とか関係なしに、同時代性を感じる短編集なんだよなぁ。