「はじめに」によると、
本書刊行の契機は「新しい歴史教科書をつくる会」による教科書問題にあるとのことだが、
何もいわゆる教科書問題にこだわったものではまったくない。
副題にもあるように、
韓国、中国、シンガポール、ベトナム、インドネシア、ドイツ、ポーランド、イギリス、オランダ、アメリカ合衆国、日本の11ヶ国について、
教育・歴史学系統の11人の研究者がそれぞれの専門に応じて、
一カ国ずつ担当しており、
それだけにそれぞれの国に関する記述も決して浅くなく、
比較にこだわらず、各国の特徴を記述している。
中心は各国の教科書での戦争に関する記述の紹介であるが、
それだけでなく、
各国における教育制度や教科書の位置付けに関しても記されており、
口語調で書かれていることもあってか非常に読みやすい。
本書を通じて、
歴史教育はナショナリズムに関連していた時代から、
ありのままの歴史を伝え、それに関して考えるという方向へ転換しているように感じた。
こういった傾向は何も先進国・途上国といった縛りに左右されないようである。