第五巻、タイトルにあるローマ帝国とキリスト教について、二つを別個の歴史として書くのではなく、いずれか一方を図にして他方を地にするのでもなく、ローマ帝国の概説を一通りおさらいした後で、ローマ帝国・キリスト教相互の関わり合いに注目して叙述した著作。ナザレのイエスの足跡をローマ帝国の統治の観点から捉えてみることがこんなに刺激的な読みになるのかと、読んでいて面白かった。前半でローマ帝国がその創建の頃から保っていた国家宗教の変遷の様子を丹念に取り上げたあと、両者の複雑な因果の流れを示している。。供犠と恩恵の等価性という点から見ると旧来の部族宗教の延長上にあるローマの信仰に世界宗教として効き目のあるキリスト教が取って代わったことの重大性は、この後のヨーロッパの歴史に良かれ悪しかれ現れることになる。
またも独特な視点の巻。