第一部はオスマン帝国史。範囲はトルコ人のアナトリアへの進出から、
主に16世紀(スレイマン1世の時代)まで、そして、16世紀以降オスマン
帝国の「変容」に伴う社会の変化を描く。(帝国のその後の歴史は、シリーズ第20巻
近代イスラームの挑戦で扱われている。)
第一部は政治史も詳しいが、重点は都イスタンブールを中心とした帝国の社会、文化
に置かれ、オスマン帝国下の社会で当時の人々がどのように生きていたか、
がわかるようになっている。
第二部はサファヴィー朝史。範囲はサファヴィー教団の時代から、主に17世紀
(アッバース1世の時代)まで。第二部も第一部と同様に、重点は
都イスファハーンを中心とするサファヴィー朝の文化、社会に置かれている。
特に第九章「それぞれの生き方」では、あるクルド人リーダー、後宮の王女、
インドに向かった宮廷医師、あるカトリック修道士といった「珍しい」人々
を取り上げ、彼等の生涯を通して、サファヴィー朝の諸相を描いている。
オスマン帝国、サファヴィー朝に興味がある人に推薦したい。
原著は1998年出版だが、参考文献欄にはそれ以降の文献も収録されている。
そして、原著出版以降の研究動向などを踏まえた両著者の「あとがき」が収録されている。