第十三巻、時期的には第九巻の「ヨーロッパ中世」の内容から続く、ヨーロッパの各国家の統治の力学に照準を絞った著作。大国スペインと神聖ローマ帝国の没落、オランダの台頭と衰退、イギリスとフランスの質の異なる上昇、ロシアやドイツ、オーストリアの勃興と、ヨーロッパ各国の個性が俄然現れてくる時期の歴史を非常に解りやすくまとめてくれている。絶対主義の時代を、経済的・社会的に見ると封建制から資本主義体制への過渡期の政治体制として捉え、権力の中心に諸階層を従わせようとする求心力とそれに逆らう遠心力のはたらきを見ようとする視点は、全体の構成を引き締めていて、読みやすい。
ここで現れてきた各国家の統治体制がフランス革命で一気に撹乱され、変化していく様子が第十五巻・第十六巻で展開していくのは、このシリーズのクライマックスの一つだと思う。前のめっていくヨーロッパの伸張が読み取れる一冊。