心理学に関する有名な本について,これほど多くのものを,これほどコンパクトにまとめたものを他に知らない.一冊について8ページ前後で記述されているので,読んでいて苦にならない.また,解説には必ず「最後に」という節があり,心理学的な意義を示してくれているので,大変ありがたい.
初学者には心理学の全体像をつかむためによく,ある程度心理学を勉強した者には,広範囲に及ぶ心理学の知見を整理し,世界を多元的に見るための指南書の役割を果たしそうだ.いずれにせよ,実際の著作に触れるきっかけを与えてくれことは間違いない.
他に,訳が日本語として十分こなれていることも評価される.研究論文をまとめている「心理学を変えた40の研究」も名著であるが,直訳すぎる感が否めない.本書の訳者が心理学関係の本を,これからも翻訳されることを望む.
ただ,本の選択が臨床心理学の方へ,いくぶん偏っている傾向がある.少し考えただけでも,知覚心理学のギブソン,表情分析のエクマンなど基礎心理学的なものを加えることで,バランスが良いものになったと思われる.