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世界の多様性 家族構造と近代性
 
 

世界の多様性 家族構造と近代性 [単行本]

エマニュエル トッド , 荻野 文隆
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 4,830 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

家族構成の分析を通して、世界像と歴史観を一変させる革命的著作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

トッド,エマニュエル
1951年生まれ。ケンブリッジ大学歴史学博士。パリ政治学院を卒業。現在、国立人口統計学研究所資料局長

荻野 文隆
1953年生まれ。東京学芸大学教授。フランス文学・思想。パリ第三大学文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 556ページ
  • 出版社: 藤原書店 (2008/9/22)
  • ISBN-10: 4894346486
  • ISBN-13: 978-4894346482
  • 発売日: 2008/9/22
  • 商品の寸法: 21.4 x 14.8 x 4.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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計量人類学 2009/5/5
形式:単行本
本書は「第三惑星」「世界の幼少期」という著者の過去の著作を再掲したものです。

「第三惑星」では、人類の多様性を8つの家族構成の違い(親子関係や兄弟関係の従属性や平等性など)で分類可能とし、それらの特徴について述べています。
様々なイデオロギーが世の中にありますが、著者は各々の家族構成が特定のイデオロギーを自然発生的に生み出したと結論づけており、イデオロギーが家族構成を作り出したわけではなく、またイデオロギーが家族構成を無視して広がるわけではないことを解説しています。
また、これまでの人類学や政治学では、家族構成という人類の基本的な最少集団単位を重視してこなかったが故に、人類の多様性やイデオロギーの発生メカニズムを見極められなかった、としています。
但し、何故8種類の家族構成の違いが生まれたか、また定着したか、については、本書では「偶然」としています。ただ、この結論については、著者の同僚からの建設的な批判により、その後の研究で解き明かそうとしているようです。

「世界の幼少期」では、「第三惑星」の分析を踏まえて、家族構成の特徴(親子の関係、夫婦の関係など)により、当該エリアの経済の発展の仕方が異なること、また経済の発展が結婚年齢の上昇、識字率の向上、死亡率の低下、出生率の低下といった流れの結果として起きる、としています。
また、経済学における経済発展の理論は貨幣換算できるものだけを取り扱っており、それだけでは発展の因果関係を見誤るとしています(それでも取り扱うようになっただけましではありますが。アンガス・マディソンが過去1000年以上の経済データを収集・分析するまでは、経済学にはデータに基づく経済発展の理論はありませんでした)。
人類学における著者以外のデータ分析については不勉強なのでよく知りませんが、経済学においてはいろいろと経済発展のパラメータを特定しようという動きが一部にありますので(ウィリアム・バーンスタイン「豊かさの誕生」、ダイアン・コイル「ソウルフルな経済学」など)、これらと統合できれば、更に経済発展を含めた人類の発展のメカニズムが明らかになると思います。

何れのものも、広範かつ膨大な情報の分析に基づいた説ですので、検証可能性があるということから「科学」といえるでしょう。データに基づかない理論(仮説)も科学にとっては大事なものなのですが、理論という名の妄想もかなり多いですので、この手の著作は結構ありがたいと思います。
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13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By tomomori トップ500レビュアー
形式:単行本
達筆のレビューが既に出ていますから付け足しに止めます。本書は発表当時に政治学者たちに攻撃されたそうですが、さもありなん。本書は政治学を「無力」な「夢見る学問」と言い放ち、政治学者を夢遊病者のようだと言います。歴史を動かすものをある人はイデオロギーだと言う。しかし玉ねぎの皮をもう一つ剥いてみよう。そこに何があるのか?それぞれの民族の無意識の核に横たわるのは「伝統的家族構造」だ、というのです。父がどのように存在し、「教育力」を司る母がどのように位置付けられ、財産がどのように相続され、息子たちと娘たちがどのようにそれに与かって来たか。その類型の様々によって、あるいは父を憎む文化が醸成され(神殺し=父殺し)、あるいは母を厭う神経症の文化が誕生し(母殺し=魔女狩り)、長い長い年月をかけて、平等主義、権威主義、個人主義etcといったイデオロギーの原型が出来ていった。家族構造の違いによって識字率の伸長と教育の普及に差異が生じ、やがては近代を呼び込む力や速度の違いに結びついていく。政治イデオロギーは「原因」ではなく「結果」に過ぎないという訳です。
本書は近年読んだ本の中でも「目から巨大なウロコが…」の出色の一冊でした。というのは、「人間は本当の本当に『イデオロギー』で動くもんなのか?」というのが最近の個人的な疑問だったからです。本書の答えは「否」なんですね。著者の切り口が世界を説明する決定打かはさておき、そんな理由からも個人的に非常に頷く一冊ではありました。
このレビューは参考になりましたか?
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 梵太
形式:単行本
『新ヨーロッパ大全』でも有名な社会人類学者、社会学者エマニュエル・トッド
の著作である。原著は1999年に発表されており、既刊の『第三惑星』(1983)と
『世界の幼少期』(1984)の2つをまとめたものである。序文では、トッドが後の
研究と関連付けて本書の位置づけについて述べており、発表当時どのような批判
があったのか、あるいは研究を振り返っての思いが語られている。

『第三惑星』、『世界の幼少期』で著者が主張することは、簡単に言えば「家族
構造が政治・文化・経済の様相を規定する」ということである。家族構造決定論
と言ってしまってもいいだろう。

『第三惑星』では、特に政治的イデオロギーと特定の家族構造の一致について指
摘する。なぜ、コミュニズムは特定の地域で受容されたにもかかわらず、その他
の地域では多数の支持者を得られなかったのか。逆に、リベラリズムを拒否する
のはどういったことからなのか。トッドは、世界の家族類型それぞれが無意識の
うちに含んでいる価値システム、それが受容する政治的なイデオロギーを決めて
いるからだと主張する。
アングロ・サクソンの自由な親子の結び付きと不平等な兄弟・姉妹関係を特徴と
する絶対核家族はリベラリズムと対応する。また、ドイツや北欧諸国そして日本、
韓国・朝鮮の子に対する父親の権威と不平等な兄弟・姉妹関係を特徴とする権威
主義家族は社会民主主義に親和的な家族構造なのだという。さらにコミュニズム
は、ロシアや中国などの外婚制共同体家族の地域で受容されている。
こうした家族類型とイデオロギーの一致について各章で細かく述べている。確か
に、複数の家族類型が入り混じる地域もあり、例外もある。しかし、そうした例
外についてのエクスキューズも念入りで、非常に丁寧な説明がなされていると感
じた。

続く『世界の幼少期』では、家族構造が政治的のみならず、経済レベルあるいは
人口動態の規定要因であることを示そうとする。その場合に変数間をつなぐのは、
識字率という媒介変数である。識字率は知識のリソースへアクセスできる人々が
多いことをあらわしていて、「文化的な潜在力」の指標としてトッドは扱ってい
る。また、家族構造は女性(母親)の地位を決めており、それが「教育的な潜在
力」となっている。女性が早婚で子に対して限定的な地位しかもたないのであれ
ば、子の教育もふるわない。こうして家族構造(教育的な潜在力)は識字率(文
化的な潜在力)と相関することになる。さらに、文化的な潜在力は経済的な成長
を促す要因であるため、識字率を介して家族構造は経済レベルを左右することに
なる。

本書では、一貫して家族構造から政治的イデオロギーや経済成長を説明する。そ
の揺らぎない幹があるので、いくつかの例外や反証例があるようだが非常に説得
力があった。わかりやすく知的な刺激が詰まっている。500ページをこえる分量だ
が、読んで損はない。
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