雑誌カーグラフィックの読者のクラブ "CC CLUB" のニューズレターに毎月連載されていた「ご隠居」こと高島鎮雄さんの紀行風の自動車の歴史ルポをまとめ、いくつかを追加して単行本化された本。私は、クラブ員として、毎月楽しく、興味深く読んではいたものの、まとまった本を見ると、作者の意図がよりはっきりと見えます。「馬なし馬車」から、世界各地の人々が試行錯誤でクルマを作り始め、自動車社会が徐々に作られていく。取り上げられているくるまは、必ずしも「名車」というわけではなく、むしろマイナーなものも多い。それだけに、製作者がそれぞれ試行錯誤していく中で創意工夫をこらして、際だった個性のクルマたちを作り上げていったことがよくわかります。自動車好きのかたはもちろん、近代社会の創生期から成熟期にかけて、こういったかたちで進行していったのだ、という文明論としても興味深い本です。