詩のアンソロジーですが、本の作りから見ておそらく小学生高学年くらいの子に読んで貰うのを想定して出版されたものでしょう。
その上、翻訳者の飯吉光夫がドイツ文学の専門らしく、収録されてるものがドイツの詩人に偏っていて、少し『世界の名詩を読みかえす』というタイトルには偽りがあるのではないかと思ってしまうのですが、その欠点を補って余りあるほど翻訳が素晴らしいです。
特に僕が感動したのはランボーの訳なのですが、ランボーはこれまで何度も翻訳されてるにもかかわらずあまり良い訳がなかったんですね。小林秀雄の訳は解釈を入れすぎですし、堀口大学は完全に堀口自身の作品になってしまっている。それでは最近の訳はどうかと言うと、日本語としてこなれていないものが多くて、少しげんなりしてしまうのですが、だからこそこの飯吉光夫訳ランボーを初めて読んだときは感動してしまいました。詩は小説よりも遥かに訳者の質によって印象が変わるのものなのですが、既に出ているランボー訳が気に入っていた方もこの翻訳は一読の価値があるのではないかと思います。
勿論、他に収録されている詩も素晴らしく、挿絵も美しい。
1,680円という値段はちょっと高いように思えるかもしれませんが、内容の充実ぶりを考えると決して高い買い物ではありません。