最近の本シリーズ大戦ドイツ機の標準フォーマットで構成されている。
カラーはプラモデルの塗装、マーキングの参考として絶好の四面図一式と13機分の側面図、コクピット概略図および英、米の博物館に現存する実機写真7ページ。カラー写真は部分的なものが多く、爆弾倉内部の写真は珍しいと思う。モノクロ写真は戦時中のもので鮮明なものは少ない。また、ディティールがわかる写真はキャノピーまわりに限られる。
本文は鳥養氏の安定性、操縦性に関する考察以外は国江氏の独壇場である。
鳥養氏の記事は、当時の飛行機の操縦性、安定性に対する設計の難しさの解説と、そこから導かれるMe210の失敗に関する考察であり、大変わかりやすい。ただし、鳥養氏が資料の豊富な現用機を考察されるときのような、チャートやグラフを駆使した本格的なものではない。
国江氏の記事は実機のマニュアルを元にした大変充実したもので、ガンカメラやライフラフトの使用法などは、これを読めば実際に操作ができるのではないかと思われるほどである。また機体各部の構造なども、多数のマニュアル図版を用いて詳細に解説がなされており、コピーで読みにくくなってしまった図版の記号と本文の記述の対応を追いかけて行くだけで非常にハードな頭の体操となる。加えて月刊誌かなにかに分載されていた記事をまとめなおしたためか、時折本文と図版の番号が対応しないというトラップまで仕掛けてあるので、最後まで読み通した暁には強靭な精神力が養われるに違いない。これだけ充実した記述にして、なお記述に触れられなかった未解決の重大な問題があるとのことで、国江氏の知識の底知れぬ深さがうかがわれる。
さすがに数千ページにわたる実機マニュアルをベースにしただけあって、Me110後継機としての設計思想や技術的な課題、これに対する解決策などは一切触れられていないが、そんなことは問題ではない。これだけ詳細な構造図やマーキングが掲載されたMe210/410の、現在入手可能な日本語で読めるモノグラフとしては、世界最高の一冊と断言できる。
これだけの情報量を生かすには、1/48では小さすぎる。タミヤ、ハセガワから1/32で、あるいはトランペッターあたりの1/24のキットが発売されることを期待して、これに徹底的にディティールアップをしようというモデラーには必携であり、強くお薦めする。