中村一義を中心とするバンド『100s』の、これはバンドとしては三枚目、中村通算でなら7枚目のアルバム。
中村一義自身の「原風景」である江戸川区小岩の商店街「フラワーロード」をテーマにして、
世界を呪い、愛に苦しんだ昔の自分自身を俯瞰し祝福し解放する、多分そんなテーマのアルバム。
それゆえ、ある程度彼の経歴を知っていないと、アルバムのコンセプトやストーリー自体を理解し難い。
ある意味、本当にエゴに満ちたアルバムで、しかもそれが真摯で狂気じみて前向きだからタチが悪い(笑)
しかしそれを彼等は強引に、そして強力にポップに響かせ、説得力を与えることに成功している。
そして過去にケリを付け、新しい世界の広がりへ突入していく意気込みを表明するまでを描く。
音楽的には、中村と池田が中心となって作られたせいか、分厚いコーラスとキーボードがサウンドの要。
特にキーボードは時にポップに弾け、時にシリアスに奏でるなど活躍する。
曲の質は総じて高いが、割と軽快な前半と、必死で真剣でどシリアスな後半のギャップは強烈である。
特に後半はあまりの思いの強さに聴いてて息苦しくもなるが、それだけ彼のこのテーマに対する真剣さが伺える。
シリアスな向きは『ERA』っぽいが、あれが外向きの攻撃なら、これは世界を巻き込んで内向きな感じ。
「100sのサージェントペパーズ」というコンセプトがあるようだがが、個人的には「アビーロード」っぽいと思った。
中村一義の音楽理論や100sサウンドなど、それらの総決算的な色合いが強い。
それだけにここからどう変化し、広がっていくのか楽しみになる。
中でもアルバム導入の『世界の私から』の祝祭感は凄い好き。キャリアを俯瞰して乗り越えていく気迫を感じる。