国際情勢、日本及び世界経済の20項目について池上先生がさわやかな弁舌をふるう。
問題提示、原因分析、詳細説明と構造が平明なため非常に理解しやすいが、表現、比ゆには案外独創的、ユーモラスな面もあり、ニュースを知るということを非常に良い意味で知的娯楽の域にまで高めていると思う。
第1章は「破綻と再生を繰り返す世界経済を見通す」(6項目)
(01)「日本航空問題」を最初に「空港整備特別会計という仕組みは道路問題と同じ」と言い切っており、感覚的に全体像が理解できる。さすがというしかない。
(03)「GM破綻からアメリカ年金制度の闇を」では、アメリカ車と日本車の違いを戦闘機(ゼロ戦・グラマン)の設計思想の違いから説明しているのがユニーク。
(04)「サブプライムローン」を最後に「正月の福袋」と表現しているのには笑った。サブプライムローンを五文字で説明するとは・・・
第2章は「今ある日本の大問題」(5項目)
(11)「検察審査会」の仕組みについてはP147のフローチャートがわかりやすい。このような煩雑な法的手続きにはフローチャートによる説明が有効であると勉強させて頂いた。
第3章は「アメリカという大国の実像を見通す」(3項目)
(12)銃に対するアメリカ人の思い・・・アメリカは銃を持つ権利を憲法で保障していることは案外報道されていないのではないだろうか。
日本とアメリカのどちらがよいかは別にして、アメリカの新聞が鳩山前総理への評価が厳しかったのも案外このような文化的な違いが背景にあるのではないかと思った。
第4章は「中国・ドバイ・EU・・・」(6項目)
(15)中国の検索ソフト問題は必見か。今年の核サミットの直前にグーーグルは中国から撤退したが、F22の台湾への売却でさらに米中間は冷却化していた。
そこを鳩山総理がつけなかったのは痛かった。
全体を見通しても密度の高い良著だと思う。当面、池上先生の快進撃は止まりそうもない予感・・・。