「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す 」という書名からすると、なにやら過激で感情的な反グローバリズム本かと思ってしまいますが、さにあらず。現代は"Making Globalization Work"という穏やかなものです。
著者のスティグリッツは机上の経済学者ではなく、クリントン政権と世界銀行で実際の政策に携わり、さらに世界中を飛び回って見てきた経験を持っており、その豊富さには圧倒されます。この本で示される多くのエピソードが大きな説得力を持って迫ってきます。
この本はワシントンコンセンサスやIMFの政策など、国際金融政策の批判に多くのページが割かれていますが、それにとどまらず、地球環境問題や知的所有権の問題、それに基軸通貨としてのドルの将来に疑問を投げかけるとともに、前向きな政策提言も数多くなされています。
改革という言葉が他人を貶めるための空虚なスローガンに堕してしまい、「グローバル化=アメリカ化」といった安易な議論がなされている現在の日本においても、この本は多くの人に読まれるべきでしょう。この本が、もっと冷静で公平な議論ができるきっかけになればと思います。