ユングが苦闘して到達した「究極の魂の元型」(普遍的宗教性)を、
「みんなバラバラの元型でいいんだ!」と、
あっさりと言ってのけるみもふたもなさにヒルマンの「元型心理学」の独自性がありますが、
ユングとヒルマンの性格的な違いですね、これは。
内向的になんとしても究極の魂(元型)と一体化したいというユングの想いが、
そこまで悩まなくても、イメージ、イメージと、外向的なヒルマンにはわからないようです。
「創始者の心、後継者知らず」になっているのは残念ですが、
それはさておき、
外向的リアリズムの世界に魂を見出そうとするヒルマンの現実感覚は、
ユングの内向性を補って深層心理学に明るい見通しを提供しています。
以下↓、ザッとこんなことが1番言いたいみたいです。
P96
『今や深層心理学は自分で自分を封じ込め、もったいぶり、金儲けを考え、偽りに満ちた権力という不誠実にまみれています。
・・・
心理学に魂を取り戻すには、つまりその深層にルネサンスをもたらすには、
この世界にこころの深層を取り戻すことが必要になる、というわけです。
私が今日気づくことに、患者の方が彼らの住む世界よりもずっと感受性が高いということです・・・。』
・心理療法に「告白」は利用されているが、
「祈り」が排除されている。
・「告白」はそれ自体を超えて先に進むことがないので、
宗教的衝動がかき立てられ、満たされないままになっている。
・心理療法が告白にとらわれると、嗜癖状態になって、告白を繰り返すようになる。
・祈りおよび神的なるものへの献身はこの問題に対して治療を提供してくれる。
「孤独のメッセージ」♪で世界的なロック歌手となり、
ユングの学名「シンクロ二シティ」♪という曲で1985年のグラミー賞を受賞し、
21世紀に入って自伝を執筆したスティングの告白を思い合せると合点がゆくことしきりです。
ユングの精神分析に通ったこともある元教師スティングは、
2012年タイム誌のインタヴューで次のように語っていました。
「私の抱えているのは宗教的な問題だ。」
ああ、ね。