科学史に輝く10の公式を選び、その発見の経緯や議論を説明し、その公式が科学や人類の進歩に果たした役割、さらにはその確立にいたる経緯について説明した本。著者は哲学科の教授である。以下の公式が取り上げられている。
・ピタゴラスの定理
・ニュートンの運動の第二法則
・ニュートンの万有引力の法則
・オイラーの等式
・熱力学第二法則
・マクスウェルの方程式
・E=mc^2
・アインシュタインの一般相対性理論の方程式
・シュレーディンガーの方程式
・ハイゼンベルクの不確定性原理
読み終えてつくづく思うのは、著者も述べているように、科学上の偉大な発見というのは、きわめて人間的で情緒的なプロセスである、ということである。迷信や宗教、思い込み、不手際、反証、無関心、すれ違い、未完成、無理解、激しい対立、難解。「真実の旅は、よくいわれているような楽しい探求などではなく、はるかに困難で危険なものだ」ということに、思わず同意してしまう。また、互いに影響を受けたり、ヒントをもらったりという例も含めると、純粋に一人で原理を導き出したという例は少ないものだな、と思った。
著者が指摘しているように、科学上の発見や理論が人類の進歩に果たした役割は非常に大きいのに、王や貴族や戦争や軍人などに比べると一般の歴史書での扱いはとても小さい。しかし、これらの業績はいろいろな形で現代の我々の社会を支えることに貢献しており、その歴史的なプロセスを振り返ってみることは、けして無意味なことではない。
ピタゴラスの定理やオイラーの等式が物理方程式なの?という邦題への突っ込みはさておいて、面白く読めた。