社会を見るには様々な視点がある。政治や経済を通じて見ることもあるし医療や教育、安全保障といった切り口もあれば文化や芸術などを窓口にすることもある。本書は、それに加えて金融というお金の立場から現代社会を観察するという視点を紹介している。
6つの整理された論点は、それぞれ独立しているようで相関も強い。普段何気なく接しているお金が、投資行動や銀行、ファンドそして米国などの海外金融とどう関わっているかを再認識するとともに、それが自分の生活にどうフィードバックされるのかも考えさせられる。論点を整理するという意味でも貴重な書物だが社会との接点を説いた6章も印象的だ。
刻々と米国覇権が低下するという筆者の描写と、依然として米国を大きく映し出すメディアとの落差を、どう受け止めるか。米国金融の相対的地盤低下が真実ならば、それは軍事的・経済的な意味でも日本への影響は避けられない。本書はそんな問題意識も提起しているように思う。