出版社 / 著者からの内容紹介
著者は社会人類学者であり、「非西洋に対する西洋の言説の批判」をテーマに著述を続けている。その名は、まず人類学の世界において知られているが、本書に収められた論考は、さらに宗教学・政治学にまで射程をひろげる
従来、人類学者にとって「宗教」とは、その普遍的本質を論じようと熱意を傾けてきた対象であった。その一方で、ある意味では自分たちの立つところそのものであり、何ら変わったところのないように思える脚下の制度、「世俗」について論じることには、さしたる緊急性を感じないままきていたと言える。その虚をついたのが、本書である。
著者はまず、啓蒙主義や今日のリベラリズムを含む「西洋の伝統」と「イスラムの伝統」との間にあるズレの構造を、丹念な記述的方法によって明らかにしていこうとする。そこから、西洋的近代化と功利的個人主義が現代の発展を判定するための基準である??のみならず、あらゆる伝統がその後に続くべき唯一の真性な軌道である、という考えの限界が論じられる。
世俗的近代性という、特殊に西洋的なモデルの再考を迫り、近代の権力と宗教的諸伝統の再布置を試みた、エキサイティングな書。
内容(「BOOK」データベースより)
西洋と中東で世俗的な感性が成った過程を追い、「近代」を構成する主体的個人の言説と国家権力のあり方、世俗主義の観念、実践、政治的形成を論じる。超分野的な話題が織りなす文明論・制度論。