上野千鶴子と辻元清美の一年をかけた対話を本にしたもの。話題は多岐にわたるが、二人が詳しい介護・ケア・少子化などの分析に光るものが多い。家族の変容、晩婚・少子化、高齢化、教育、医療、年金など、現代日本に生じている諸問題は、「問題の解決それ自体が新しい問題を生み出す」というタイプのものである。それらはすべて連動しているから、「昔はこんな問題は起きなかった! 昔に戻せ!」と叫んでも無駄なのだ。たとえば、性が結婚から自由になった「性革命」(世界中の先進国で一様に生じた)の日本固有の帰結は、非婚化と少子化だ。結婚しなくても性活動が可能になり妊娠も増えたが、「できちゃった婚」にならずに中絶も多い。ヨーロッパのように事実婚が普通になれば、出産はかなり増えるはずだが、「未婚の母」に不寛容な日本の文化や法制度が中絶と少子化を促進した。文化、規範、法制度は複雑に絡んでいる(p68f)。また、商店街のシャッター通りと同様なことは、これから住宅地でも起きる。住み手のいない空き家を公共財化して、地域の介護拠点や低所得者に提供するというアイデアは悪くない(45)。超高齢化というピンチは、新しい発想をすればチャンスでもある。上野は言う、「草の根からオルタナティブな共同性を創ることだ。オルタナティブな共同性は、かつてあった共同性を回復したり復活したりすることじゃない。・・・かつてあった共同性が解体され、機能マヒしていったのは、必然性があったからそうなので、それを復活させることはできない」(225)。全体的に、上野は経済合理性を重視、辻元はややユートピア的か。