対談からも志ん朝師匠の江戸前の語り口が聞こえてくるようだ。特に同じ偉大な親父を持った息子どうしの中村勘九郎(現、勘三郎)や、だじゃれ満載の荻野アンナとの対談などが面白かった。池波正太郎とは、いかにも気がおけない者どうしの対談になっていて、師匠の素顔がうかがえる。
明るい芸風の陰でいかに努力の人であったか、芸に厳しい人であったかもうかがい知ることができる。だがあくまで目指していたのは文楽師匠のようにではなく、「芸は人なり」そのものの志ん生師匠のようだったと知って、改めてその死はまだ早すぎたと思う。
山藤章二が「噺家の中でも志ん朝さんの様子のよさは群を抜いている」と書いているが、まさにその通り。もちろん高座を観れば一目瞭然だが、それができない今、CDを聴く以外にそれを味わえる貴重な資料です。表紙の写真もいい。