黒川創による鶴見俊輔へのインタヴューを纏めたもの。おなじみの組み合わせ。話の内容もおなじみのものばかりで、何ら新鮮味がなかった。このような形式の本はこれまで何冊も作られているので、更にもう一冊世に出す意味があまりないように思う。
この本の取り柄を挙げるとすれば、丸山真男が自身の被爆体験をあまり語ろうとしなかった理由を鶴見が忖度している箇所だろう。鶴見によれば、丸山は、原爆をヨーロッパ近代の必然的帰結だと理解はしていたが、そのことをどうしても受け入れることが出来なかったという。丸山にしてみれば、原爆よりも、日本社会の前近代性のほうが許しがたかったのである。これは、今後の丸山論のひとつの論点となりうるだろう。