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38 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
新たな視点,そしてその先にあるものは・・・,
By カスタマー
レビュー対象商品: 不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ (単行本)
~ 本書の狙いは,新たな視点から,不登校を見つめ直すことである。読者は月の裏を見たような,鏡に自分の背中が写ったかのような,刺激的かつ馴染みのない世界を体験するだろう。本書では,新たな視点として「当事者」が登場する。そこから,「非当事者」による不登校研究が分析される。ここで分析される不登校論は,我々に馴染みのあるもので,月の表であり~~,鏡に写る自分の顔である。そして「当事者」の語りによる不登校論が展開される。読者はここで,本来体験し得ない「当事者」を垣間見る。そして結論は,「社会的不利益をさけるため早期復学を」という意見も,「不登校でも結構。不利益なんて関係ないさ。」という意見も否定する,新たな境地へ読者を案内する。「非当事者」によって語られてきた「当事者」の~~物語を,「当事者」自身がどう語り直すか。その試みの結果を,我々は本書を手にすることにより知るだろう。本書を,統計を利用する調査研究ではない故に,偏った内容と判断することはできないだろう。同じ月でも表と裏は全く違う。背中を論ずる時,顔を根拠に論じることに意味はない。本書は,研究法という観点から言えば全く新しいものであると考えた方~~がよい。また,学術的文体ではないことも,不登校経験者や,あるいは一般の「非当事者」をも読者として想定していると考えれば,自然なことだろう。議論に多少のほころびが存在しても,修士論文という発展途上であること,新たな視点の提示という本書の特徴,という点を考慮すると,本書の価値を下げることにはならないだろう。 しかし,そもそも当事者と~~非当事者と分けることが可能か,非当事者による不登校論の持つ意味は何か,当事者の語りをモノローグ(単独の語り)と捉えるか,ダイアローグ(対話)と捉えるか,「当事者の物語」は誰が受け止めるのか,などと残された課題は多いように思われ,個々の議論もまだまだ深めていく余地があるだろう。~
38 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「終わらない」ことの重み,
By カスタマー
レビュー対象商品: 不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ (単行本)
当たり前のことのように思えますが、「不登校」とひとつに括ろうとしてもそこに至る過程は人それぞれに違います。「不登校」という状態を脱した(ように周りから思われている状態も含んだ)後も、その頃を肯定的に捕らえるか、否定的に考えるのかもそれぞれに異なっています。本(元になっているのは作者の修士論文)というひとつのものになるに当たり、論をまとめようとしても、こういった現実が「まとめる」ことを難しくしています。またかつてさまざまな形で行なわれたまとめが果たして正しかったのか、どうか。作者は不登校にかかわる非当事者(「管理者」「居場所」関係者や「親」など)から「当事者」(実際に学校に通わなかった人の意味)までを丁寧に追い、注意しなければならない点、括れないものもあることを表明しながらも、ひとつの結論として当事者の立場「不登校が終わらない」ことを論じています。 かつて(作者よりもはるかに歳を食っていますが)「当事者」の一人であったものとして、この姿勢を高く評価したいと思います。
26 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0
センチメンタルな言説分析,
By
レビュー対象商品: 不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ (単行本)
不登校の問題を、所詮は自らに都合のいいように語っているような印象を受ける。不登校が今に始まった現象でないのなら、今の不登校問題はこれまで俗にいわれている言説とどこが違うのか。著者はこの点を問題意識の一つに掲げているが、もしそうだとしたら、もっと多くの不登校経験者を調査し、階層や世代、地域といった点からも分析する必要があるのではなかろうか?「語り」のみで語りきれるほど単純な問題ではないと思う。でないと、せっかくのインタビュー対象者も、著者と同様に、結局は豊かな社会から出てきたわがままな若者が不登校者に転じただけのことではないかとみなされてしまいかねないだろう。
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