1−3章は概念の定義付け、しかも会計学辞典からのコピー。4章5章は会計規則、会計準則そのほかの法令を並べたもの。6章、7章は不正経理の探し方。概念を紹介するのはいいのだが、どの概念が操作可能性を高めるのかの議論が十分でなくあやふやなまま進んでいく。図・表が多用されているが、はあくまでも説明のための道具にすぎず、≪説明≫ではない。
ところどころに引用文として「かつてアメリカでは、キリスト教の、その中でもプロテスタントの非常に厳しい倫理が強く働き、不正に対する曲視力として機能してきた。」という記述が複数回出てくる。では、神道・仏教の影響を受けている日本は致命的か?文化論を論じるならばその章を作ればよく、その中できちんと論証すべき。この本は文化論ではなく、不正経理の調査でありそこを充分にしないまま文化論に入るのはいかがかと思う。
この手の研究は守秘義務がからむので一次資料にあたれないのは仕方ないが、週刊誌レベルのものを引用しており、研究書としての位置づけではないし、入門書・教科書として使うにしても問題がある。
テーマと題名が面白そうだっただけに残念である。