社員間の協力関係が崩壊している「不機嫌な職場」が増えている原因を指摘し、上手くいっている会社の事例からその秘訣を学ぼうという本。1冊の本としての着地点を見出せないまま、また、本当に大事なことには触れないまま、という印象。
何だかよくわからない本だった。本質的には組織経営・運営をテーマとした本で、「不機嫌な職場」が増えているという問題に対して、それを「非協力的な人が増えた」という個人レベルの問題に帰すのではなく、90年代に日本企業が経なければならなかった経営方略の大変革によって個々人の働く環境が大きく変わったにも関わらず、その不備を補う制度や文化がいまだ醸成されていない、という組織レベルの問題を指摘している。ただ本書では、そのような組織経営・運営上の問題に対して組織として採るべき解決策の原理・原則に関して力強い議論を展開することに成功していない。代わりに個人レベルから始まる解決の可能性を提示しているが、正直具体性に欠け説得力を感じられなかった。
私が本書の議論を未整理なままだと感じるのにはおそらく理由が2つあって、1つは、そもそも組織の経営・運営という課題はどのような問題を解かなくてはならないのか、といった、本書の前提となるような議論が全くなされていないこと、もう1つは、「役割構造・評判情報・インセンティブ」という、組織内での協力を考えるために本書前半で導入されている3本軸と、後半になって俄然ボリューム感を増してくる「組織内での(正や負の)感情の連鎖」という現象が、どこでどのように関連しているのか全く議論されていないせいではないかと思う。つまり、「組織の問題」というものは実は組織レベルでも個人レベルでも起きているのに、両者の関係について議論するためのより大きな枠組みが提示されていないのだ。だから、本書は私にとって「未整理で」「よくわからない」のだろうと思う。