著者は、次のように述べる。
1 中国は、2020年までにGDPで米国を追い抜き世界一になる。その時、中国の軍事力は、日本の10倍以上になっている。日本は、中国が米国と肩を並べる大国となることを認識しなければならない。
2 米国は、冷戦時代のように日本を重要視していない。日本より米国が重要視するのは中国である。日本が米国に従属していれば自国の繁栄があると考えるなら、時代錯誤であり国益を大きく損なうことになる。
3 米国は1980年代後半から90年代の前半にかけ、日本(日本の経済力)を最大の脅威とみなしていた。そこで、米国は日本に対し工作活動を行っていった。その一つが、BIS規制による日本の銀行の追い落としである。その後、日本経済は凋落して行く。
4 米国は、台頭する中国に対し、日本を利用し対抗しようとしている。しかし、日本自身が、日米同盟で、中国と軍事的に対抗できると考えるなら大きな誤りである。東アジアの日米の軍事力と中国の軍事力を比較すれば、中国の方が圧倒的に優るからである。また、米国は自国を他国(中国)からの核攻撃の危険に晒してまで、他国(日本)を守ろうとはしない。核の傘は、実は中国に対して無効なのである。
5 日本の三つの領土問題、中国との尖閣諸島、韓国との竹島、ロシアとの千島・国後・択捉の問題は、歴史的経緯を踏まえると日本に属する領土とは言えない。また、領土問題は、武力衝突につながる可能性がある。それゆえ、例えば中国との尖閣諸島問題は、これまで「棚上げ」とされて来たが、実はそれが日本にとって非常に望ましい状態である。日本は領土問題では、相手国と、武力不行使と話し合いを原則とし、貿易等で緊密な関係を築いていく、国益を失わない姿勢が必要である。
6 ある国民が、自国の事に関心が強く一方で他国の事に関心が薄い時、他国と対立が起きやすい。日本人は、この傾向が強く、それゆえ、日本人は攻撃的な国民性であると言える。もっと、日本人は、他国のこと知ろうとすべきでる。それが他国と良い交渉をする為に必要である。
7 日本は、中国は米国と肩を並べる大国となることを認識しなければならない。そして、日本の繁栄の中核が東アジアにあることを知らなくてはならない。出来れば、東アジア共同体を構築すべきである。
しかし、米国は、それを脅威とみなし阻もうとするだろう。そして、日本には、政治家、官僚、大企業、マスコミに米国従属のシステムが出来上がっている。
それゆえ、米国従属からの脱出も、東アジア共同体の実現も極めて困難だろう。だが、私たちは少しずつでも、日本の未来の為に歩を進めなくてはならない。
以上、本書のあらましを紹介した。
本書は、一人でも多くの日本人が読むべき、日本の、貴重な戦略本である。