「症例A」が私には面白かっただけに、この中途半端な長さの推理物は是非に!とは
お勧めできません。結構面白い設定なので、逆に謎解きで「物足りなさ」を感じます。
主人公と医師との恋愛関係から、昔の事件の真相が明らかになる。この設定はなるほどです。
しかし、謎解きではあまりにも簡略化しすぎで、苦い味が残ります。
最後の場面で、これほど主人公を利用した人間が平気でいるのがちと不可解。
また中途から同級生も関与するが、謎解きのためにとりあえず登場したとか思えない存在。
この本が「本格ミステリ(って一体どんなのか知らんが)」とは思えないし、
「事件にかかわる恋愛を描いた」とも思えない。
といって、全く面白くないかと言うとそうでもなく、結構面白い。
ただ、謎解きをした人間の描き方には首を傾げます。どんな精神構造の人が、これだけ矛盾した
行動を取れるのでしょう?
この著者の短編集によく似た、全編「中途半端」な印象の作品です。
ただ好みの人にはかなり面白いかも。
個人的には一気に読み通せたので、星は三つ。