この1年、例年に比べてSFのアンソロジーの出版が多かったような気がするが、この本もそのうちの1冊。
新しいもの、古いものを取り交えて、古今東西、時間を超えた恋愛を描く短編小説6編を集めていて、とても興味深いラインアップとなっている。
収録作は、次のとおり。
梶尾真治 「美亜ヘ贈る真珠」
恩田陸 「エアハート嬢の到着」
乙一 「Calling You」
貴子潤一郎 「眠り姫」
太宰治 「浦島さん」
ジャック・フィニイ 「机の中のラブレター」
まさか、ジャック・フィニイと太宰治の作品が一冊の本で読めるなんて思わなかったが、こうやって編まれたアンソロジーを読んでみると、全く違和感はない。いい選択のように思える。
どれも未読だったが、どれも時間SF、恋愛小説として面白いし、不思議なことに、どれも時間を越えることの悲劇性がテーマにあり、興味深かった。
ジャック・フィニイの作品も良かったが、この中では、恩田陸の作品が、自分としては好み。まさに、時空を越える恋愛の悲劇性をうまく描いていると思う。