評価しにくい本だ。
いかにも入門書的な装いで作られているが、内容的にはそう簡単ではない。数式(というほどのものではなくても)も使われているし、相当論理を追求しながら読んで行かないとついて行くのは困難。
しかし著者は、比喩などもふんだんに入れてわかりやすくしているつもりらしい。その比喩や冗談が上滑りしている感がある。
訳文にも大いに問題がある。原著者の軽妙な文体(原文に当たっていないのでなんとも言えないが)を活かそうとしてなのかどうか、日本語にやたら体言止めが使われているせいで、「簡潔」というより「妙な文章の省略」「中途半端な文」という印象しか与えない結果になっている。個性的であろうとする姿勢が仇になり、むしろ「クセのある」鼻につく文体になってしまっているのが、なんとも残念だ。
類書と比較すれば、わかりやすさという点では例えばブライアン・グリーンの『エレガントな宇宙』『宇宙を織りなすもの』の方が、一枚も二枚も上を行っている。