出版社 / 著者からの内容紹介
誰にも完全には知り尽くせない深遠な数、円周率πについての数学読み物です。円や幾何とは離れた、思いもかけない分野に突如出てくる不思議な数πの物語とその使いみちを、豊富な話題で語りかけます。数学のいたるところに顔を出す不思議な数πの歴史と生態を探る「伝記」になっています。πにまつわる話題を提供することで、数学を中心としたさまざまな分野の魅力を知らしめる啓蒙書にもなっています。πは定義として円周率ですが、確率や代数など、思わぬところに顔を出してきます。各章では、πの計算、πの不思議な性質、πが出てくる応用などを、高校レベルの知識でわかるように易しく説明しています。数学者を魅惑しつづけてきたπの魅力つきない世界を堪能できます。
内容(「BOOK」データベースより)
数学のいたるところに顔を出す不思議なπの歴史と生態を探る。数学者を魅惑しつづけてきたπの魅力つきない世界。πに惹かれた数学者たちの挑戦。
内容(「MARC」データベースより)
πって何? 誰にも完全には知りつくせない深遠な数、数学のいたるところに顔を出す不思議な数πの歴史と生態を探る。数学者を魅惑しつづけてきたπの魅力つきない世界を紹介。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ポザマンティエ,アルフレッド・S.
ニューヨーク市立大学教育学部の数学教育の教授で、主として中等教育での数学の教材や解説などの著書がある
レーマン,イングマル
ベルリンのフンボルト大学で教学教授を務め、数学の著書があるほか、ドイツで数学の英才教育にあたったりしている
松浦 俊輔
翻訳家。名古屋学芸大学非常勤講師など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ニューヨーク市立大学教育学部の数学教育の教授で、主として中等教育での数学の教材や解説などの著書がある
レーマン,イングマル
ベルリンのフンボルト大学で教学教授を務め、数学の著書があるほか、ドイツで数学の英才教育にあたったりしている
松浦 俊輔
翻訳家。名古屋学芸大学非常勤講師など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
抜粋
序文
もちろん、題を見れば、本書がπについての本であることは明らかだが、ひとつの数だけについて、一冊の本が書けるものだろうかと思われているかもしれない。著者二人の願いは、本書全体を通じて、πが数としてただものではないことを納得してもらえることだ。πは特別な数で、また意外なところで出会う数だ。この数が数学全体でどんなに役に立つかもわかることだろう。著者はπについて、「読者に優しい」紹介のしかたができることを願っている--なおかつ、この最も重要な数の研究に内在する美にも配慮したい。
学校では、πがとる値は3.14とか、3+1/7とか、22/7といったものであることを教わる。そんなことを思い出すかもしれない。中学生や高校生の用途にとっては、この数で十分以上にやっていける。単純に、π = 3が使えたら、話はもっと簡単だったかもしれない。しかしπとは何だろう。πの本当の値はいくらだろう。πの値をどう決めるのだろう。昔はそれをどう計算したのだろう。今日、最新の技術を使った場合、その値はどうやって求められるのだろう。これらは、これから読み進められる本書で著者が探っていく問いの、ほんの一部である。
まず、πとは何か、それがどのあたりに由来するかを話してπの紹介をしよう。伝記というのがそうであるように(本書も伝記だ)、誰がなぜその名をつけ、どういう経緯で今の姿になったかが語られる。第1章では、πとは要するに何で、どういういきさつで今の名声を得ることになったかの話をする。
第2章では、πの進展の歴史を簡単におさらいする。この話はおよそ4000年ほど前にさかのぼる。πの概念がどれほど古いかを理解するには、それを今の数の表し方の歴史と比べてみるといい。十進法の位取り表記のことで、これが西洋世界で使われるようになったのは、800年ほど前にすぎない。この章では、πという一定の比の発見と、その値を決めようとする多くの努力のことを回顧する。そうする中で、聖書に登場するπの値だとか、確率論の分野との関連でのその値など、いくつかの問題について検討する。πの「正確な」値を求めようという探求にコンピュータが入ってくると、話はその複雑さの度合いを変える。もはや数学的に厳密な解を求める問題ではなくなり、コンピュータは、πの値について、次々と正確な値を出していく。問題は、コンピュータはどれだけ速く正確になりうるかということだ。
πの値の発達を概観したところで、第3章は、その値に達する様々な方法を挙げる。厳密なもの、実験によるもの、ただのいい山勘によるもの、広い範囲にわたる方法を選んだ。ごく普通の読者がただ理解できるだけでなく、自分でもそれを使ってπの値を計算できるようなものを選んだ。本書では取り上げきれないが、非常に精巧なπの値の求め方がたくさんある。本書の難易度については、一般的な読者を想定している。
あらゆる時代を通してπに向けられた熱狂をもってすれば、とらえどころのない数を追い求める中では、カルト的な追っかけが生まれたのも意外なことではない。第4章では、πの値と関連分野を、古代の数学者には思いもよらなかった方法で調べた、数学者や数学愛好家による活動や発見に目を向ける。さらに、コンピュータの登場とともに、新しい探求の道も見えてきた。この章では、その新しい道についても見ていく。
第4章の副産物として、πの値や概念にまつわる、いくつもの珍しい現象も得られた。第5章では、この珍しいことをいくつか見てもらう。この章では、πが、他の有名な数や、連分数のような、一見すると無関係に思える概念とも関係することを探る。ここでも、数学に関しては高校の数学以上の知識を必要としない材料に限って紹介した。πの仲間には面白いものもあるだけでなく、自分なりの仲間を引き出してみたくなるかもしれない。
第6章は、πの用途に充てる。まず、円と密接に関連しながらも、丸くはない別の図形について論じる。ルーローの三角形は、πが円以外の幾何学にも出向いていくことの、実にほれぼれするような例だ。それから話を、いくつかの円の用途に転じる。πがどこにでもあることがわかるだろう--いつでも顔を出すのである。どうということもない状況も、まったく別の視点から見られるようにするような、役に立つ問題の解き方もいくつか本章に入れてある--とても有益に思えるかもしれない。
最後の第7章では、πと円がからむ驚くべき関係をいくつか紹介する。地球をぐるりととりまくロープに関する問題は、きっと誰もが抱く直感に反するだろう。比較的短い章だが、きっと驚くはずだ。
本書の意図は、数学を美しくするのに貢献する、πをめぐる無数の話題を知ってもらうことだ。この有名な数と、数学のいろいろな分野にわたるπの多くのいたずらに関する参考文献も挙げた。たぶん、πのこうした面について、さらに追いかけてみたくなるだろう。πファンの仲間入りをする人もいるかもしれない。
2004年4月18日
アルフレッド・S・ポザマンティエ
イングマル・レーマン
謝辞
πの物語を一般の読者に語るという荷が重い仕事のおかげで、著者二人は、人をとりこにするこの数について、自分が何十年も数学とかかわる中で遭遇した多くの面白い話を、相当の時間をかけて探したり思い起こしたりすることになった。
それは楽しく心豊かになることだったが、πの物語を、一般の読者がこの数の驚異を共有できるようにする作業は困難をきわめた。そのため、外部の意見を求める必要があった。ニューヨーク・シティ・カレッジの同僚ジェーコブ・コーエンとエドワード・ウォールは、原稿をすみずみまで読んでくれて、一般の読者に伝わるようにしようという著者の努力にとって参考になる意見をくれた。まず、このことに感謝したい。
もともと本書を書くよう迫ってきたリンダ・グリーンスパン・レーガンは、一般読者の視点から原稿に注文をつけるという、いい仕事をしてくれた。とくにイングマル・レーマンは、クリスタン・ヴィンセントに対し、ときどき応援にきて、自分の考えをいちばんよく表すしかるべき英語をつきとめる手助けをしてくれたことに感謝する。後記を書いたハーバート・A・ハウプトマンは、原稿をタイプしてくれたディアナ・M・ヘフナーと、本書に載せる図のいくつかを提供してくれたメルダ・トゥガクに感謝する。見事な腕で原稿を整理し、英語の最新用法を教えてくれながら、原稿の数学としての中身を損なわないようにしてくれたペギー・ディーマーには、とくに感謝する。
言うまでもないことながら、本書を書いている間、それぞれの妻バルバラとサビーヌが示した忍耐が、本書が首尾よく完成に至るのには欠かせなかった。
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もちろん、題を見れば、本書がπについての本であることは明らかだが、ひとつの数だけについて、一冊の本が書けるものだろうかと思われているかもしれない。著者二人の願いは、本書全体を通じて、πが数としてただものではないことを納得してもらえることだ。πは特別な数で、また意外なところで出会う数だ。この数が数学全体でどんなに役に立つかもわかることだろう。著者はπについて、「読者に優しい」紹介のしかたができることを願っている--なおかつ、この最も重要な数の研究に内在する美にも配慮したい。
学校では、πがとる値は3.14とか、3+1/7とか、22/7といったものであることを教わる。そんなことを思い出すかもしれない。中学生や高校生の用途にとっては、この数で十分以上にやっていける。単純に、π = 3が使えたら、話はもっと簡単だったかもしれない。しかしπとは何だろう。πの本当の値はいくらだろう。πの値をどう決めるのだろう。昔はそれをどう計算したのだろう。今日、最新の技術を使った場合、その値はどうやって求められるのだろう。これらは、これから読み進められる本書で著者が探っていく問いの、ほんの一部である。
まず、πとは何か、それがどのあたりに由来するかを話してπの紹介をしよう。伝記というのがそうであるように(本書も伝記だ)、誰がなぜその名をつけ、どういう経緯で今の姿になったかが語られる。第1章では、πとは要するに何で、どういういきさつで今の名声を得ることになったかの話をする。
第2章では、πの進展の歴史を簡単におさらいする。この話はおよそ4000年ほど前にさかのぼる。πの概念がどれほど古いかを理解するには、それを今の数の表し方の歴史と比べてみるといい。十進法の位取り表記のことで、これが西洋世界で使われるようになったのは、800年ほど前にすぎない。この章では、πという一定の比の発見と、その値を決めようとする多くの努力のことを回顧する。そうする中で、聖書に登場するπの値だとか、確率論の分野との関連でのその値など、いくつかの問題について検討する。πの「正確な」値を求めようという探求にコンピュータが入ってくると、話はその複雑さの度合いを変える。もはや数学的に厳密な解を求める問題ではなくなり、コンピュータは、πの値について、次々と正確な値を出していく。問題は、コンピュータはどれだけ速く正確になりうるかということだ。
πの値の発達を概観したところで、第3章は、その値に達する様々な方法を挙げる。厳密なもの、実験によるもの、ただのいい山勘によるもの、広い範囲にわたる方法を選んだ。ごく普通の読者がただ理解できるだけでなく、自分でもそれを使ってπの値を計算できるようなものを選んだ。本書では取り上げきれないが、非常に精巧なπの値の求め方がたくさんある。本書の難易度については、一般的な読者を想定している。
あらゆる時代を通してπに向けられた熱狂をもってすれば、とらえどころのない数を追い求める中では、カルト的な追っかけが生まれたのも意外なことではない。第4章では、πの値と関連分野を、古代の数学者には思いもよらなかった方法で調べた、数学者や数学愛好家による活動や発見に目を向ける。さらに、コンピュータの登場とともに、新しい探求の道も見えてきた。この章では、その新しい道についても見ていく。
第4章の副産物として、πの値や概念にまつわる、いくつもの珍しい現象も得られた。第5章では、この珍しいことをいくつか見てもらう。この章では、πが、他の有名な数や、連分数のような、一見すると無関係に思える概念とも関係することを探る。ここでも、数学に関しては高校の数学以上の知識を必要としない材料に限って紹介した。πの仲間には面白いものもあるだけでなく、自分なりの仲間を引き出してみたくなるかもしれない。
第6章は、πの用途に充てる。まず、円と密接に関連しながらも、丸くはない別の図形について論じる。ルーローの三角形は、πが円以外の幾何学にも出向いていくことの、実にほれぼれするような例だ。それから話を、いくつかの円の用途に転じる。πがどこにでもあることがわかるだろう--いつでも顔を出すのである。どうということもない状況も、まったく別の視点から見られるようにするような、役に立つ問題の解き方もいくつか本章に入れてある--とても有益に思えるかもしれない。
最後の第7章では、πと円がからむ驚くべき関係をいくつか紹介する。地球をぐるりととりまくロープに関する問題は、きっと誰もが抱く直感に反するだろう。比較的短い章だが、きっと驚くはずだ。
本書の意図は、数学を美しくするのに貢献する、πをめぐる無数の話題を知ってもらうことだ。この有名な数と、数学のいろいろな分野にわたるπの多くのいたずらに関する参考文献も挙げた。たぶん、πのこうした面について、さらに追いかけてみたくなるだろう。πファンの仲間入りをする人もいるかもしれない。
2004年4月18日
アルフレッド・S・ポザマンティエ
イングマル・レーマン
謝辞
πの物語を一般の読者に語るという荷が重い仕事のおかげで、著者二人は、人をとりこにするこの数について、自分が何十年も数学とかかわる中で遭遇した多くの面白い話を、相当の時間をかけて探したり思い起こしたりすることになった。
それは楽しく心豊かになることだったが、πの物語を、一般の読者がこの数の驚異を共有できるようにする作業は困難をきわめた。そのため、外部の意見を求める必要があった。ニューヨーク・シティ・カレッジの同僚ジェーコブ・コーエンとエドワード・ウォールは、原稿をすみずみまで読んでくれて、一般の読者に伝わるようにしようという著者の努力にとって参考になる意見をくれた。まず、このことに感謝したい。
もともと本書を書くよう迫ってきたリンダ・グリーンスパン・レーガンは、一般読者の視点から原稿に注文をつけるという、いい仕事をしてくれた。とくにイングマル・レーマンは、クリスタン・ヴィンセントに対し、ときどき応援にきて、自分の考えをいちばんよく表すしかるべき英語をつきとめる手助けをしてくれたことに感謝する。後記を書いたハーバート・A・ハウプトマンは、原稿をタイプしてくれたディアナ・M・ヘフナーと、本書に載せる図のいくつかを提供してくれたメルダ・トゥガクに感謝する。見事な腕で原稿を整理し、英語の最新用法を教えてくれながら、原稿の数学としての中身を損なわないようにしてくれたペギー・ディーマーには、とくに感謝する。
言うまでもないことながら、本書を書いている間、それぞれの妻バルバラとサビーヌが示した忍耐が、本書が首尾よく完成に至るのには欠かせなかった。
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