きれいな鉱物の図版がないかと散々探していたが、美しさと詳細さを兼ね備えているものは少ない。そんな矢先、2月にこの図鑑が発売されると聞いてたのしみにしていた。
で、実際立ち読みしてみて驚いた。本音を言えば「瑪瑙ばっかりなのか」と思ってたけれど、瑪瑙のことぜんぜん知らなかった! 炎も草木も風景も水も宇宙も脳髄も内包する石・瑪瑙。一瞬嘔吐反射が来るほどの圧倒的な美しさがそこにある。視るドラッグとでも呼びたいほど激烈で、頭がくらくらしてしまう。とくに「クレイジー・レース・アゲート」の個性には度肝を抜かれる。ムンクの絵をそのまま石にプリントしたみたいな「風景石」もまことに不可思議で、こころから驚いた。
この本の制作者は装幀家でありながらも瑪瑙の世界的コレクターであるそうで、ここに収録されているほとんどの図版が著者蔵というのも凄いなと思った。思うに、石というのは美しく撮るのが難しいのではなかろうか。でもこの本に収録されている石はその美しさを一番際立たせられるような図版となって収まっている。ここに制作者の愛とプロ意識を感じる。
また、鉱物の図版となると美しいなら美しいだけで終わってしまいがちでもあるが、詳細さも兼ねているのが凄いところ。瑪瑙というものがなんであるかというのもかなり分かりやすく説明してくれるし、雨花石やサンダーエッグなどのコラムもとても面白い。こんな膨大で詳細な図鑑は、いったいどうやって作ったのだろうか。制作過程が知りたいものだ。
とにかくほんとうにこころから感動し驚嘆し高揚した。ここには天地創造があると言っても過言ではない。これで3800円はほんとうに安い。買わないまでも立ち読みしてみることをすすめる。著者にはぜひ、第2弾を作って頂きたい。