日本でPFIといえば、せいぜい図書館、市民会館、学校給食の民営化ぐらいだろうが、なんと本書では、合衆国の象徴であり、存在意義に近い「アメリカ軍」を民間警備会社に委託する法律を通すためにさまざまな利権者たちが暗躍する。利益独占をはかる警備会社オーナー、出世を望む官僚、その上を狙う議員、行政組織など・・・。
彼らは、民営化反対の勢力であるバリバリの軍人上がりの上院議員を暗殺したり、正規軍を罠にかけ、その失態ぶりをさらすことにより、世論誘導を図る。
完全な罠であり、逃げようがない軍務に敢えて立ち向かう主人公は、正規軍に所属する超一級の狙撃兵ながら、心理的なトラウマを抱えている。しかも序盤で、いきなりチームが全滅してしまい、たったひとりでシリア軍、傭兵チームと戦いながら上官の救出を「不屈」の闘志で切り抜けてゆく。
傭兵を蹴散らし、国家的謀略を叩き潰すために孤軍奮闘する主人公を背後から支える外交チームや機材、人的資源の投入を瞬時に判断し、現場で行動に移す「軍曹ネットワーク」の描写などそれはほんとうに見事。
最後の最後まで目が離せないスピード感とそうせざるを得ない必然性を違和感なく連ねた本書は、今年のここまでの「冒険小説ジャンル」では第1位!