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不安の書
 
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不安の書 [単行本]

フェルナンド ペソア , Fernando Pessoa , 高橋 都彦
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

終生、リスボンの貿易会社の仕事にたずさわりながら、もっとも先鋭的な作品をのこしたフェルナンド・ペソアは、生前ごく少数の理解者を得たにとどまり、1935年、ほとんど無名のまま47歳の生涯を終えた。没後、膨大な遺稿が徐々に刊行されるに及んで、その現代性が高く評価され、ペソアは20世紀前半の代表的な詩人のひとりと目されるようになった。1982年に刊行された『不安の書』は、ヨーロッパの各国語に翻訳され、今なお多くの読者を魅了してやまない。存在の不安、自己のアイデンティティの危うさ、生の倦怠、夢と現実の対立と交錯が、リスボン在住の帳簿係補佐の手記という形式を借りて語られた。現代世界文学の傑作とされる。本書は、1986年刊行の全集版を底本に、1999年にサンパウロで刊行されたゼニス版をも参照した完訳である。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高橋 都彦
1943年東京生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。拓殖大学教授。ポルトガル語学・ポルトガル語文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 649ページ
  • 出版社: 新思索社 (2007/01)
  • ISBN-10: 4783511969
  • ISBN-13: 978-4783511960
  • 発売日: 2007/01
  • 商品の寸法: 20 x 14 x 4.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 440,972位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本
リスボンにある繊維問屋の帳簿係補佐ベルナルド・ソアレスが書いた断章の集積という体裁を採っていますが、仮にフェルナンド・ペソア自身による断章と言ったとしても、この作品を考える際の障害とはならないでしょう。
余りにもつかみどころのない生のために、精神に常に不安が沸きあがってくるなか、ソアレスは原稿用紙だけでなくあらゆる紙に言葉を書き付けていきます。繊維問屋の事務所で、アパートの小さな一室で、時には酒場やカフェで。書くという行為によって何か確かなものを捕らえようとするかのようにも見えますが、不安に囚われた精神は、書いたすぐからリスボンの街を彷徨う身体から離れて、世界へと漂い出ていきます。
六百ページを超える断章の集積を読み続けていく間には、時折苦痛に捉えられることがあるかもしれません。しかし、不安に囚われたソアレスの断章には、空から或いは精神が漂う世界から光が差し込んでくる瞬間が時折訪れます。ソアレスの精神を捉えているのは「絶望」ではなくあくまでも「不安」であり、精神が彷徨うことは彼にとって生そのものなのでしょう。幾つかの言葉が心に残ります。「深い憂鬱、倦怠に満ちた悲しみは、安楽や落ち着いた贅沢をそなえた環境なしには存在しえない」、「しかし結局、金箔師通り(ソアレスの職場とアパートがある通り)にも世界があるのだ」、「この下町を見下ろす五階からでも、無限を考えることができる」。
イタリアの作家アントニオ・タブッキは、『不安の書』におけるリスボンは、「カフカのプラハ、ジョイスのダブリン、ボルヘスのブエノス・アイレスのようなもの」であると語ったそうです。しかし個人的には、シャルル・ボードレールとパリの関係に近いような印象を受けます。『不安の書』と『巴里の憂鬱』では表面の肌触りこそ異なるものの、その内に不安や倦怠を数少ない言葉で現出させる詩人でこその営みが感じられるからでしょうか。
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形式:単行本
虚構上の著者、べルナルド・ソアレスの未完の断章ー夢想と思索ーの集合体。タイトルだけが与えられた、切り口の揃わないジグソーパズルのピースの山。「不安の書」には決定版はありえず、理想的な編纂法はルーズリーフによるものであろう、、。(訳者、巻末解説文から)

 本文600頁余(厚さ4cm、重さ?)、460の断章は、どこから読んで、いつ止めてもよく、読者自身が夢想や観想を日常に取り戻そうとするときの良い導きになるのではないだろうか。

 「不穏の書・断章」(思潮社)において、原著の10分の1弱がすでに澤田直訳で刊行されています。
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7 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
私は普段余り(詩人に限らず)現代芸術家などと云う肩書きの付いた人の書いたものを殆ど読まない。技巧過多レトリック過剰で韜晦趣味で独りヨガリなのが多いからである。だが、時たま何故か妙に波長の合ってしまう人も中には居て、そうなると作品としての完成度がどうとか批評家がどう言っているとか芸術史上どう云う位置にあるとかは全くお構い無しに、その作品自体にグイグイのめり込んでしまう。私にとってペソアはそうした幸運な詩人の一人で、本書の10分の1を訳した『不穏の書、断章』と出会ってから、ペソアの本はシオランと並ぶ実存的倦怠と疎外の表現の代表格として、私の愛読書のひとつになっている(余談だが、私はポルトガル語を解さないのでどちらが原語に忠実か判断出来ないのだが、邦題は『不穏の書』の方が好きだ。『不安の書』だと在り来りな感じがする)。

存在と非存在、現実と非現実とのあわいに身を浸す分裂した観察者の倦怠と退屈、そして悲哀に満ちた無力感、その疲れた筆致から溢れて来るどう仕様も無い悲惨なまでの明晰さ、意味の没落に対する恐怖と冷笑、書くことでしか生きることが出来なくなってしまった孤独な都市生活者の自問と独白、生活に対する距離感と意識の地獄………等々、ペソアの魅力を伝えてみようかとも思ったのだがどうも一言で表すのは難しい。彼は彼の存在を賭けて書いている、と言うより、書いている彼が彼であって、書くことによって彼は彼であるのだから、彼の作品は一冊の本ではなく、一人の人間の全存在だからである。だから興味を持たれた方はあれこれ考えずに先ずは付き合ってみることをお勧めする。この本の何処でもいい、パッと開いてみて少しでもピピッと来るものがあったら、次へ進もう。2、3頁分も読んで心に響くものがあったら、迷わず即レジへ持って行こう。一度に読む必要は無い。必要な時に必要なだけ読めば良い。何時かその内、貴方の孤独を分かち合える相手を見付けたことに気が付くことがあるかも知れない。それは立派に、ひとつの新しい体験である。
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