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・不安を排除、克服しようとするのではなく不安と共生したらよいこと、
・時代・環境自体が不安定になっているのだから不安を感じる人の方が却って人間らしいやさしさをもった人間であること、
・「死」や「汚」等、見たくないもの、感じたくないものを敢えて日常生活から隔離してあたかもそれらがないもののように振る舞う現代の方がおかしいのであって、それらと共に生きる方が人生に厚みが出ること=これが不安との共生でもある、
・「老い」や「死」という区切りがあるからこそ生きていけるのであって、永遠の生を与えられれば却ってうんざりするはずであること、
等々、卓見で説得性も高く、何よりも読者の心を楽にしてくれる。年齢差はあるけれど、この人と共に人生を歩んで来られてラッキーだった、と思う。
一つの悟りの境地に達しているけれど、それでいて人間らしさを失わない、そんな作家から僕らへのあたたかい贈り物だ。
デフレ、失業率といった経済問題、一方でドッグイヤーといわれ置いて行かれそうなIT技術の急速な進歩、一方でテロやイラク戦争、一方で若年犯罪や自殺の増加・・・
「不安」の要素が、ますます増加している世の中にあると思う。
こういった現代において、五木寛之は、「不安を感じない強い自分を作る」わけでもなく、「不安は錯覚だと目をさらさせる」わけでもなく、「不安になることは必然のこと」ととらえて、不安を友として生きることを薦める。
そこには、「悪いもの」と思っていた不安を、「悪いものではない」と捉えなすパラダイムの転換がある。
暖かく語りかけてくるような五木調も手伝って、不安の重みが薄れてくるように感じられてくる、人生に厚みをもたらす本である。
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