映画全盛期(1950〜60年代)に
石原裕次郎らと共に
日活の黄金時代を築き、また戦後最大の国民的大スター・
美空ひばりからも熱愛を受けた銀幕の大スター・“マイトガイ(ダイナマイトのような豪快な男)”小林旭!!
私自身、世代的には異なるものの
東映のヤクザ映画に出演されていた頃の印象が強く、なかでも『
仁義なき戦い』での武田明役(当時35歳)には圧倒され、主役である菅原文太氏と対立するその存在感には現在でも目を見張るものがあり、小林氏なくしては本作の成功は語れない作品である事は歪めない。
今回『
小島慶子キラ☆キラ』〈2011・12・1 O.A.〉でプロ書評家の
吉田豪氏が氏について語られていた事に興味を抱き、本書を手にした次第である(私自身、氏の著書を読むのは『
さすらい』〈2001:新潮社刊〉以来実に10年ぶりとなる)。
まず注目すべきは、なんといっても近年大々的に取り上げられた大物の暴力団組長の誕生日パーティーによるゴルフコンペに参加した事による醜聞について一章丸々書かれており、このために6億円近い損失を被った挿話などこのご時世にアンタッチャブルな面も堂々と語れる“小林旭”のスケールの大きさに改めて驚きを感じずにはいられない(注:『週刊SPA』2011・12月6日号に掲載された吉田豪氏による小林旭インタビューでは、ほとんどその事についてより詳しく書かれているので本書を読まれた方は必読です)。
他にも日活時代の人気の凄まじさを物語る挿話や自分の曲による著作権や自分の主演作品による二次使用料による日本の芸能界の組織に異議を唱えたり、元女優・
酒井法子の醜聞に代表されるマスコミあり方に苦言を呈し、また今日の映画産業や芸能界のあり方、その他人間関係についても不満をぶちまけているのが特徴的だ。
そのうえ、1億7千万円の負債を自力で返済した事や出演料750万円が移動中盗難被害に遭った挿話、大金を投入して映画初監督に挑むも氏とスタッフの意気込みの温度差の大きさにより躓き、作品自体も不振に終わり多額の負債を抱えた事など読めば読むほどタイトル通り“不器用な男”という印象を感じさせる。
かつての石原裕次郎や
ビートたけしのように時代々々のトップに君臨し続けるほど器用ではなく、また他者のように決して世の中に迎合して妥協した生き方ができない氏であるが(関心の薄い人にとっては本書は“昔の大スターによるただのたわ言”のように捉えられるかもしれないが)、それでも言い続ける小林旭の存在は今日の芸能界もしくは世の中に失ってしまったものを持つある意味“最後のスター”といえるだろう。
最後に氏が最終章で宛てたメッセージが最も印象に残りました。