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不可能性の時代 (岩波新書)
 
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不可能性の時代 (岩波新書) [新書]

大澤 真幸
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (20件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「現実から逃避」するのではなく、むしろ「現実へと逃避」する者たち―。彼らはいったい何を求めているのか。戦後の「理想の時代」から、七〇年代以降の「虚構の時代」を経て、九五年を境に迎えた特異な時代を、戦後精神史の中に位置づけ、現代社会における普遍的な連帯の可能性を理論的に探る。大澤社会学・最新の地平。

内容(「MARC」データベースより)

「現実から逃避」するのではなく、「現実へと逃避」する者たち。彼らはいったい何を求めているのか。95年を境に迎えたこの特異な時代を、戦後精神史の中に位置づけ、現代社会における普遍的な連帯の可能性を理論的に探る。

登録情報

  • 新書: 296ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2008/4/22)
  • ISBN-10: 4004311225
  • ISBN-13: 978-4004311225
  • 発売日: 2008/4/22
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (20件のカスタマーレビュー)
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46 人中、42人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By くにたち蟄居日記 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
 概して面白く読めたが その「面白さ」はあくまで著者が本書で語る「物語」の面白さであり それが本当なのかどうかについては 留保が必要ではないかと感じた。
例えば著者は「酒鬼薔薇聖斗事件」「地下鉄サリン事件」などに 時代を読み込もうとしている。
著者が読み込んだ「物語」は読んでいて説得力には満ちている。しかし一方 それらの事件が 果たして時代を代表するような出来事であったかどうかに関しては 同時代に生きた僕としては説得されなかった。
 事件にまとわりつく「記号」を分析する知性には感心しても その記号は そもそも特殊ではないかという印象が最後まで残った。
 ましてや松本清張のサスペンス小説「砂の器」を取り上げ 主人公の本浦を 「本裏」=「裏日本」と読み込んでしまう著者の「深読み」を考えてしまうと それ以外の著者の読み込みも もしかしたら同レベルに「面白く」かつ「深読み」ではないかと感じてしまうのだ。
 その上でオタクを巡って 現代を読み込む手法に関しては 「そもそもオタクがこの時代を切りとる正しい切り口なのか」という前提を押えるという手続きに欠けている気がした。
 現代の日本社会を分析するにあたり オタクという「特殊な記号」が どれほど有効なのかが僕には説得的ではなかった。
 「オタク文化を読み解くことの面白さ」は本書でも十分に感じさせられるが それが 現代の日本のすべてとは思えない。今の日本を高齢化社会だと考えると その高齢者たちが オタクだとも思えず 従い 日本のある一定以上の人たちを外した日本論の有効性が ぴんとこないのだ。その意味でも 前記の手続きがほしいと思った。

 著者の博覧強記と 語り部としての才気はすさまじい。それがある意味で裏目に出ている気もした次第だ。繰り返すが 大変面白い本ではあるのだ。
このレビューは参考になりましたか?
86 人中、66人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モワノンプリュ VINE™ メンバー
形式:新書
 本邦思想業界で注目された話題を片っ端から放り込み、強引に縫い合わせたパッチワーク。人名なら東、吉見、佐藤卓己、内田隆三、森川嘉一郎、大塚、ローティ、スローターダイク、北田、浅羽、ジジェク、鈴木謙介、岡本裕一朗、アガンベン、ベンヤミン、市野川容孝、ストロガッツ、etc。主題で言えば三島、大江、柳田、折口、永山則夫、M,酒鬼薔薇、ディズニーランド、村上春樹、糸井、エロゲー、オタク、リスク社会論、ネットワーク科学、etc。何という目配りの良さ!
 イヤラシイのは他人の議論を必ずしも元のまま援用せず、大澤(逆説)理論で再解釈した上で取り込むところ。しかも、その再解釈がかなりの頻度で「ハァ?」。さらに議論の繋ぎ目に「〜ではないだろうか? だとすれば、〜だ」式の怪しい推論が頻出して(算えてごらん!)、トランプの城並みに危うい。
 で、最後は説教。不可能性の時代って要するにオタクの時代なワケで(p191〜)、それは真の他者、真の現実、真の破局に向き合うことを回避する時代だ! 破局を直視せよ! 「ムーゼルマンという〈破局〉が、すべての人間にとって、己の偶有的可能性の中に組み込まれて」おり(p243)、「われわれすべてがそれに感応してしまう」が故に、そこには「普遍的な連帯への手がかりがある」(p254)。ただし「だからと言って(中略)『われわれは皆ムーゼルマンだ』と叫んで、共感や同情を表明することは、軽薄なことだ」(p243)…って、え、誰が軽薄だって?
 と、ここまで盛り上げながら、「結」では中村哲・河野義行両氏に触発され、「共同体と共同体を繋ぐランダムな線」に「真に徹底した民主主義への希望」(p285)が託される。両氏との会談からネットワーク理論なんかに話を持って行くところが、この上なくダサイ。それに、昔のリゾームみたいな話だし。
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15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:新書
 最初に時代区分と言葉の定義がある。理想の時代(1945−60)、夢の時代(60−75)、虚構の時代(75−90)、そして不可能性の時代(90年代以降)。現代(不可能性の時代)の特徴は「アイロニカルな没入」など幾つかの用語で整理できるが、基本的にそれらのコンセプトは現代人の二律背反傾向を示している。引篭もりのオタクが趣味の合う仲間内とのコミュニケ−ションを渇望することから、政治的多文化共生主義の徹底がコミュニタリアニズム(保守的伝統主義)と結果的に同じ振る舞いを行うことまで、膨大な事例を引きながらこれらの分析フレームの有効性を証明する。結論部で語られているような、社会的ネットワーキングの推進による民主主義の徹底に望みを持とうとする点も含め、著者の整理は成程うまく行っているような気がするのだが、それでも僕は以下の点が気になった。

1)オタク論がかなり雑で我田引水だ。例えば、鉄道や切手のマニアにとって、彼らの趣味は「広域の普遍的な世界へのつながりを実感させてくれる手がかりだったのだ」(94p)と語る。「オタクの世界=閉域」というステレオタイプなイメージとオタク達が持つ(と著者の考える)「世界」への希求の二律背反を例示しようとした箇所なのだが、でも、例えば鉄道オタクひとつ取っても、電車の「音」や「分岐器」専門の人とかゴマンといる。多分、彼らは別に路線図の先に広がる世界の広がりが萌えのポイントではない。アニメについても「マジンガーZ」等を挙げながら、「アニメの中の主役ロボットは、しばしば、神を連想させる名をもっている」(108p)という例証を、オタク世代における第三者の審級の強力な回帰の例として挙げる。でも、そういう名前じゃないアニメ・ロボットの方が多いんじゃねーの?(そもそもロボ・アニメばっかじゃない訳でさ。)実は全体的にこういう例示の「?」をつつき出すとキリが無いのだが、もしかして肝心の社会学の学説についても都合の良い話を適当に引用してるんじゃないか、という心配が浮かんでしまうのだ。

2)「大きな物語」の終焉。色んな人たちがポストモダン論で語ってきた認識だし、僕もそう思う。「社会主義vs民主主義」というテーマが、先進国での政治・経済・文化で全面的に語られてきたような時代では今はない。でも、今、僕らの生活は別種の少し小さな「物語」に規定されている。例えば、完全な「自由主義経済」の国なんて存在しないのは明白なのに、僕らは「自由主義経済」をお題目として信じている振りをしている。これって著者の言う「アイロニカルな没入」だ。こんな例は一杯ある。この本で結構な紙数を割かれてるアニメや村上春樹のストーリーよりも、もっと社会学者が語るべき「物語」は沢山あったはずだ。

3)何が上の時代区分で日本社会を変質させたのか、という分析がスッポ抜けている。著者本人が、戦後60年経っているのに「戦後」という時代区分が生きているのは日本だけだと冒頭で書いているが、政治システムは戦後変わらなかったという認識は著者もしているようだ。そう、変わったのは日本の経済システムなのだ。だとすると、未来に向けた巻末で「民主主義」という政治システムにだけ言及するのは片手落ちで、経済システムについても社会学の視点から何か語るべきではないか。

 僕は2)と3)のような問題点を打開するヒントを有効に語ってくれない「現状分析」は、幾らその手並みが鮮やかでもやっぱり星を5つつける気にはならない。(あと、アニメ/ゲームの分析って、そんなに大事かね?)整理の手並み自体は相変わらずお見事で、若年層による動機が不可解な犯罪の分析も納得がいくものだっただけに残念だ。
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最近のカスタマーレビュー
理想→虚構→今や不可能性の時代。
”われわれは、この暴力的な「現実」への逃避がもたらす閉塞の有り処を、「理想の時代/虚構の時代/不可能性の時代」という(日本の)戦後史の三区分を経由しながら探り当て... 続きを読む
投稿日: 1か月前 投稿者: masasa
暴力的原理主義は、多文化主義に胚胎したものだ―鮮やかな理論的考察
著者は、日本の戦後史を、「理想の時代」「虚構の時代」、そして「不可能性の時代」と区分し、現代とは、現実「への」逃避と極端な虚構化という、一見矛盾する二つの力学が、... 続きを読む
投稿日: 15か月前 投稿者: 中野拓
アネクドータルソシオロジストのエンタの神様
面白い!!爆笑必至!!なるほどそういう見方もあったかとうなずくところも多いのですが。確信犯的に針小棒大芸を岩波新書で開陳するところは達者な芸人ですねー。東海林さだ... 続きを読む
投稿日: 16か月前 投稿者: もんじろ
時代の閉塞感の正体に迫る
... 続きを読む
投稿日: 2010/3/3 投稿者: 空満
いわれてみればそうかもという議論
理想の時代、虚構の時代というとそれらをあらわす表象にことかかないし、すぐイメージできるのに対し、「不可能性の時代」といわれてもなんのイメージがわかない。現在進行し... 続きを読む
投稿日: 2010/1/9 投稿者: pp-tang
アイロニカルな没入。
今こうしてレビューを書きこんでいる行為自体が、本書でいう「アイロニカルな没入」の一種なのかもしれない。... 続きを読む
投稿日: 2009/11/9 投稿者: amdolphin
「おたく」は1970年
「おたく」は1983年と書かれている。
「おたく」は、1970年より前から、... 続きを読む
投稿日: 2009/9/20 投稿者: kaizen
どうして不可能性の時代とよぶのか,わからない
この本からえられるものはおおいが,論理に飛躍がおおいため,消化不良のままでおわってしまう. 本のタイトルの 「不可能性の時代」 については... 続きを読む
投稿日: 2008/12/7 投稿者: Kana
真に不可能なのは…
 理想、夢、虚構。
 現実の反対語としてのこれら三者に従って、日本の戦後は概ね三つの時代へと区分されうる、とは... 続きを読む
投稿日: 2008/9/24 投稿者: しゅてんだる
うんざり
要約すればおそらく4,50ページ以内で終わる内容をどうでもいい引用をして膨らませたもの。ひたすらポストモダンの典型のような口吻で呆れた引用を連発して言葉遊びを興ず... 続きを読む
投稿日: 2008/9/13 投稿者: ポーコ
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