おそらく投資手法に正解はないのだろう。あるのは結果で、
それは“金額”という絶対価値によってシビアに評価される。
ゆえに、世の中の投資に関する書籍は、方法論と精神論に分
けられる。そのうち方法論は、過去の実績を綴ったものと、
ヴァリエーションを紹介するものに分けられる。
前者がカリスマ投資家というブランドに支えられ、後者はF
Pや金融関係の業界人などの知識に支えられるものとなって
いる。
しかし、前者の手段はあくまでも“過去”の成功事例に過ぎ
ず、後者は自らがリスクをとらない机上の空論であることが、
大きな問題として情報を渇望している読者の前に立ちはだか
るのだ。
そこで本書だが、不動産売買の現場で働き、コンサルティン
グの世界的な資格も有する“プロフェッショナル”たちによ
る解説書である。
したがって、その手法は過去のものではなく、投資の現場で
進行形の市況に接しながら、自らも投資家としてリスクをと
っている人たちが語る不動産投資の手法を解説したものとい
うことになる。
本書がどのくらい実践を踏まえている内容であるかは、冒頭
が概論ではなく、いきなり市況の分析と実例の紹介から始ま
ることからもわかるだろう。
続いて、世界標準の指標を用いて、不確定要素の多い不動産
の世界を数値化する方法論を、しっかりと、しかもわかりや
すく解説する。さらに、具体的な資料を示しての物件選定の
コツという、コンサルティング的な視点と、日常業務として
膨大な契約を処理している現役営業マンなればこそ可能なノ
ウハウまで織り込んでくれているのだ。
ざっと見積もっても、1章だけで2時間数万円分のセミナー
同等の価値がある。しかも4章を読み通せば、一挙に中級ク
ラスの不動産投資家になれるだけの知識が網羅されていると
いえる。
初心者には取っつきにくい専門用語も多いが、逆にこれらを
理解せずに投資を行なおうとしていることこそ危険であるこ
とを知るべきである。
そんなことも含めて、この3人の先生がやさしく教えてくれ
る、という実用度の高い内容なのである。