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作品中にも、主人公はSF大賞出身、というギャグが出てきますが、私小説と言っても、発想はむしろSF的で、「美人なのに30過ぎで処女のポルノ作家が不倫をしたらどうなるか」みたいなプロットに、どうリアリティを持たせるか作者の腕の見せ所、ただ、そのディテールがあまりに生々しいところが、わずかに「私小説」を感じさる、というような作品です。実際、新井素子さんを思わせるような文体や、かんべむさしさんそっくりのギャグが出てきたりします。
「私小説」というと、選民意識の強い主人公が、勝手なことをほざきまくったり、勝手に自滅して自慰的ナルシズムに浸ったりというようなイメージが強いのですが、本書の場合、ハゲでワキガで「フランス式」のしゃべり方しかできないバカ男と不倫関係になり、付き合っているうちに「愛は盲目」「あばたもエクボ」みたいになるかと思えばまったくそんなことはなく、相手をバカだと自覚したまま付き合い続ける、そういうみょーな割り切り方をする主人公に対する突き放した視点があり、そこが他のナルシスト的な私小説と一線を画すところで、本書を娯楽小説として読むに耐えるものにしています。
もちろん、この小説からフェミニズム的な思想を読み取る、ということも十分可能だとは思うのですが、そういう「フランス式」のことをゴシャゴシャ書くより、ただ「面白かった」と言う方が、この作品にはふさわしいと思いました。
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