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5つ星のうち 5.0
思わず唸る結末,
By よしくん (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 黒白 下巻―剣客商売 番外編 新装版 (新潮文庫 い 17-18) (文庫)
下巻では、波切八郎・秋山小兵衛のほかにもうひとり、岡本弥助という剣客にスポットが当たる。八郎とも小兵衛とも全く違う生い立ち、人生 を歩んできた岡本。上巻では波切を助けもした、人間味あふれる彼だが、 これまでの因果を抜けられずにある暗殺に関わっていく。これに無縁で はいられない八郎。もし、岡本と八郎が再会を果たしていなければ。 岡本がこの暗殺から逃れることが出来ていれば。公儀隠密の行動が一日 早ければ。小兵衛があのとき気まぐれをおこさなければ。 『もしあの時』と何度も思わずにはいられない。 (そうであればそれぞれの剣客の行く末は、もっと違ったものになって いたに違いない) まさにこのことである。 ラストの情景には思わず感嘆した。さすがは池波正太郎である。
5つ星のうち 5.0
薄墨色のものたち,
By
レビュー対象商品: 黒白 下巻―剣客商売 番外編 新装版 (新潮文庫 い 17-18) (文庫)
黒と白、このタイトルは素晴らしいですね。では、「あえて・・・」 登場人物を当て嵌めるとどうであるか。黒は波切八郎であろうし、白は秋山小兵衛となるだろう。この小説の面白い所は、誰が白で黒で、という位置付けが、お噺の最後になると変わっている、言ってしまえばそんな小説だ。 主人公である剣客・波切が、名前の通り、封建社会の、底なしで荒れる海を、小船で流れ流れて彷徨う様を自分に当て嵌めてみるも良い。しかし彼は一人ではない、船頭、小者もいるし、一人沈みかけた泥舟に乗っている者もいる。 それが何故か、心に残るのである。彼らは、最初から白となる事を、彼らの上役や読者から期待されていない、薄墨色の者共である。僕は彼らに一番シンパシーを感じる。黒と白の曖昧な部分の代表者である彼らこそ、この「黒白」の主人公だと思うのだが如何だろうか。 岡本や伊之吉の「寂しさ」や理屈抜きで「人を心配してしまわざるを得ない気持ち」、「真剣で人を殺めた時のえもいわれぬ気持ち」も、彼らにとってはグレーでよくわからないものなのであるが、それでも、切羽詰まった時、どうしていいかわからなくても生きる時は生きるし、死ぬ時は死ぬんだ、という、人の心を斬らせたら日本一の「剣客・池波正太郎」の凄みとして伝わってくるのである。 主役に捉われず、無名の剣客達の悲痛な慟哭を是非是非体感して欲しいと思う。
4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
センスが光るタイトル,
By ポリプロピレン (愛知 名古屋) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 黒白 下巻―剣客商売 番外編 新装版 (新潮文庫 い 17-18) (文庫)
数ある「剣客商売」の中で一番好きな話です。山場は何と言っても小兵衛が悪漢を退治する場面ですが。この話は完全に脇に徹してますね。若い頃のエピソードが描かれているのがファンにはたまりません。そういえば仕事をサボって営業車の中でむさぼり読んでいたのを思い出します。とにかく正・番外あわせて、読み出したらとまらないシリーズですね。もしかしたらこの上下巻から読むと良いかもしれません、剣客商売の描かれる何年か前の話なのですから。
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